道路にはみ出す駐車に歩行者イライラ! 「邪魔!」「歩行者困る!」の声続々!? SNSの怒りと法令違反の境界線とは 元警察官が解説
自宅の駐車場からクルマが道路にはみ出している光景を見かけます。場合によっては法令違反に当たる行為ですが、これに対しインターネット上ではどのような意見が寄せられているのでしょうか。
はみ出し駐車については「非常に迷惑」、「点字ブロックを遮っている」など不満の声も続々!
たびたび、住宅やお店の駐車場などから駐車車両がはみ出している光景を目にします。
場合によっては通行の妨げになりますが、この「はみ出し駐車」は何らかの違反に該当するのでしょうか。

道路を通行していると、ときどき住宅やお店の敷地などから道路・歩道にはみ出して駐車しているクルマを見かけます。
このような「はみ出し駐車」に関してはSNS上で「近所にはみ出し駐車のクルマがあり、非常に迷惑しています」、「車庫入れのときに邪魔になる」、「飲食店の前に駐車しているクルマが歩道にはみ出し、点字ブロックを完全に遮っていることがよくある」など不満の声が寄せられています。
上記のように、はみ出し駐車をすれば他の車両や歩行者の通行を妨げることが想定され、「厳しく取り締まって欲しい」との要望も聞かれますが、はみ出し駐車は何らかの法令違反に当たるのでしょうか。
そもそも自宅の敷地にクルマを駐車する場合は、基本的に自動車保管場所証明書(いわゆる車庫証明書)の手続きが必要であり、クルマの保管場所(車庫)については次の4つの要件を満たさなければなりません。
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1 駐車場、車庫、空き地等道路以外の場所であること。
2 使用の本拠の位置(クルマの所有者の住所など)から2キロメートルを超えないこと。
3 自動車が通行できる道路から、支障なく出入させ、かつ、自動車の全体を収容できること。
4 保管場所として使用できる権原を有していること。
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上記3には「自動車の全体を収容できること」という要件があるため、道路や歩道にはみ出さないとクルマを駐車できないような場合は保管場所として認められず、車庫証明書の手続きが許可されないといえるでしょう。
しかし、きちんと車庫証明書の手続きをした場合でも、その後駐車スペースに物置や自転車などを置くことでクルマ全体が収容できなくなり、結果としてはみ出し駐車をしてしまうケースも散見されます。
なお車庫法第11条では道路をクルマの保管場所として使用することを禁止しており、同条の第2項では次のように規定しています。
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第11条第2項 何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
第1号 自動車が道路上の同一の場所に引き続き12時間以上駐車することとなるような行為
第2号 自動車が夜間(日没時から日出時までの時間をいう。)に道路上の同一の場所に引き続き8時間以上駐車することとなるような行為
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つまり同じ場所に長時間クルマをはみ出し駐車していると、状況によっては車庫法違反に当たるおそれがあるといえるでしょう。
さらに、家やお店などの駐車スペースから道路・歩道にはみ出して駐車している場合、道路交通法違反に抵触する可能性もあります。
たとえば道路交通法第47条第2項では、正しい駐車方法について「車両は、駐車するときは、道路の左側端に沿い、かつ、他の交通の妨害とならないようにしなければならない」と規定しています。
そのため駐車されたクルマが歩道や路側帯にはみ出し、歩行者の通行の妨げになっている状況であれば、誤った駐車方法として「駐車禁止場所等違反」に該当することも考えられます。
加えて、道路交通法第44条第1項第2号では「交差点の側端または道路の曲がり角から5メートル以内の部分」が駐停車禁止場所に指定されており、道路の曲がり角に位置する家やお店の駐車場からクルマが大きくはみ出していると、こちらの法令に抵触するかもしれません。
法令上は「道路に○センチはみ出すと違反」といった明確な基準はありませんが、少なくとも他の通行車両や歩行者に迷惑とならないよう駐車すべきといえるでしょう。
※ ※ ※
はみ出し駐車は他の通行の妨げとなったり、事故を誘発したりする危険もあります。
駐車時はきちんと敷地内に収める意識を持つほか、仮に自分のクルマのサイズが駐車枠に合わなければ他の駐車スペースを探すなど、各ドライバーの心がけが大切です。
Writer: 元警察官はる
2022年4月からウェブライターとして活動を開始。元警察官の経歴を活かし、ニュースで話題となっている交通事件や交通違反、運転免許制度に関する解説など、法律・安全分野の記事を中心に執筆しています。難しい法律や制度をやさしく伝え、読者にとって分かりやすい記事の執筆を心がけています。































