新車当時50万円! 三菱に「斬新1人乗りモデル」あった! 助手席ナシ「誰にも乗らせない仕様」が凄い! 超割り切った運転席のみ“おひとりさまモデル”「ミニカ1シーター」とは

ビジネスにおいて何かと便利でリーズナブルな商用タイプの軽自動車。三菱の軽自動車「ミニカ」には、かつてシートが1人分しか装備されていない、ユニークなモデルが存在しました。

1人乗れればそれでいい!? 明快に割り切った「ミニカ1シーター」

 車両価格が安く、狭い道でも取り回しが効くため、ビジネスシーンで重宝されている軽自動車の商用モデル。
 
 三菱がかつて製造していた軽ハッチバックの「ミニカ」には、なんと乗車定員が1名のみというグレードがありました。レーシングカーばりの1シーターモデルは、いったいどのようなモデルだったのでしょうか。

運転手以外「誰も乗せません!」
運転手以外「誰も乗せません!」

 ミニカは、三菱が1962年から2011年まで、計8世代49年間にわたって生産していた軽自動車です。

 ミニカは3ボックスセダン的だった初代を除き、ほとんどが2ボックスのセダンまたはハッチバックタイプ。1980年代以降には、スズキ「アルト」やダイハツ「ミラ」、スバル「レックス」などと激しいシェア争いを繰り広げました。

 今回取り上げるのは、歴代のうち7代目のミニカにラインナップされた「ミニカ1シーター」というモデルです。

 7代目ミニカは1993年の発売。三菱がバブル景気とRVブームを味方につけ、好調な業績を記録していたなか開発されました。

 特徴的だったのは、全高を先代からやや高め、丸みを強調していたエクステリアデザイン。丸型のヘッドライトも相まって可愛らしい雰囲気を持つ一方で、クラスNo.1の車室空間の広さも実現していました。

 エンジンは従来の直列3気筒ユニットに加え、新開発の直列4気筒エンジンもラインナップ。

 もちろん、先代型で登場し話題になった、1気筒辺り5バルブの直列4気筒20バルブDOHCツインスクロールターボ付きエンジンを搭載した「ダンガン」も継続設定されています。

 また、トランスミッションには当時流行していた「ファジイ制御」の4速オートマチックをはじめ、さまざまなタイプを用意。ブレーキもフロントを全車ディスク式とするなど、新しいメカニズムの採用にも積極的でした。

 ボディタイプは、運転席側ドアが助手席側より長く取られた3ドア、5ドア、そして背高ボディの「トッポ」も先代から継続して設定。

 グレードについても前述のダンガンをはじめ、女性向けのカジュアルな「グッピー」や、レトロな雰囲気の「アンティ」と「タウンビー」、トッポベースのRV風モデル「カラボス」など、ワイドに展開されます。

 そんな7代目ミニカのなかで、ある意味一番の異彩を放っていたのが、商用モデルの「ミニカバン」に設定されていた1シーター。

 ミニカバンには、後席をオミットしてラゲッジスペースとした「2シーター」もありましたが、1シーターはさらに助手席を省略したモデルとなっていました。

 確かに、ビジネスシーンにおいて社用車は1人で乗ることが多い乗りもの。助手席を装備しないことで空間をより効率よく使えるうえ、車両重量、車両価格も低減できるという点では、非常に合理的だったのです。

 三菱は当時、こうしたユニークな車両空間活用に熱心でした。

 1987年に発売したコンパクトカー「ミラージュ」の3代目には、「XYVYX(ザイビクス)」という2シーターモデルが存在。後席を取り去り広い空間を作ることで、軽量でかつ車内を自由に活用することをユーザーに促していました。

 ミニカ1シーターも、このザイビクスの販売経験を活かした企画だったのかもしれません。

 実際、車両重量はミニカバン2シーターより20kg軽量な590kgとなっていました。

 しかし、1シーターの最大積載量は2シーターと変わらない200kg。価格も49万8000円と、55万円の2シーターからわずか5万2000円しか安くなっていなかったのです。

 助手席スペースについても、シートとシートレールを省略したままの仕上げ。床面のフラット化などは特に行われていませんでした。

 結局、ミニカ1シーターは1995年11月のマイナーチェンジで廃止。助手席の省略というアイデアは、1990年代の時点では商業的には失敗だったといえます。

 しかし、まったく的外れなアイデアだったわけではありません。

 昨年2024年、ホンダが発売した軽商用EV「N-VAN e:」には、ミニカ1シーターと同じく1人乗りの「e:G」というグレードが設定されました。

 N-VAN e:はワンボックスタイプで背が高く、またe:Gは助手席側スペースを完全に廃し、フラット化されているため、ミニカ1シーターよりもスペースが有効活用できるようになっています。

 今となっては、レアで奇抜なモデルとしてマニアの間で語られることの多いミニカ1シーター。しかしそのアイデア自体は画期的なもので、やや時代の先を行き過ぎただけだったのかもしれません。

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