ホンダに「Z」あった!? 4人乗り“軽量”ボディに画期的「ミッドシップ4WD」採用! 快速「ターボ」モデルも存在! 短命に終わった「斬新ハンドリングマシン」とは何だったのか
なぜ「ミッドシップ軽SUV」が生まれたのか
ではなぜホンダは、2代目ZでMRを採用したのでしょうか。その答えは、ズバリ「理想を突き詰めたから」といえるものでした。

ZはSUV風のモデルで車高を高く設計できるため、床下にパワートレーンを集中配置が可能に。これによりボンネットも短くなり、小型車並みの長い室内有効長を実現。リアシートも畳めるなど、高い実用性も備えています。
エンジンを車体中央に載せるMRは回頭性・ハンドリングの良さが特徴ですが、Zでもそれを生かした良好な操縦性も獲得。50:50という理想的な前後重量配分により、高い走行性能を持っていたのです。
床下に縦置き・横倒しで搭載された「E072」型直列3気筒エンジンは、インタークーラーターボを備える「Zターボ」では64馬力を発生。
そのパワーは、エンジンより前に配置される4速ATを経て、ビスカスカップリング式のリアルタイム4WDにより路面に伝達します。
最低地上高は195mm、アプローチアングル・デパーチャーアングルはそれぞれ40°・50°もあり、悪路走行でも強さを発揮しました。
ホンダでは、この構造を「UM-4(アンダーフロア・ミッドシップ4WD)」と称していましたが、実は同社の軽商用車「アクティ」で用いていた技術の応用でした。
とはいえ、だとしてもアクティ4WDのメカニズムを軽乗用車に流用しよう、という発想はふつうなら生まれないもの。さらに発売のゴーサインも出ないでしょう。
コンセプトの斬新さ、思い切りの良さがある2代目Zは、いかにもホンダらしい独創的な1台です。
しかし2代目Zの販売は低迷。2002年で生産を終えた後も、直接的な後継モデルは生まれませんでした。
不振に終わった理由は、3ドアだったこと、凝ったメカニズムゆえに車重が重くなったことや当時の軽自動車としては高価格だったことなどいくつか考えられます。
ところが、SUVがごく一般的なジャンルになった現代の目線で2代目Zを振り返ると、スポーツカーのようなハンドリングと悪路走破性の両立、ジムニーに比べて圧倒的に広い室内など、目を見張る美点はいくつも見つかり、魅力的なSUVに感じられるのです。
ホンダに限らず1990年代・2000年代には「今ならもっと売れたのに」と思わせるクルマが散見されますが、2代目Zもまさにその1台といってもよいでしょう。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
いやいやいや、ホンダZは超有名でしょ
ライターは知らなかったのかもしれないけど、
旧車好きをナメてるよね。