マツダ新「クロスオーバーSUV」発売! 「乗り心地」大幅進化の秘訣は“部品”を外した!? ディーゼル「新グレード」&“特別仕様車”も登場! 改良された「CX-60」の実力とは?【試乗記】

全てのモデルからリアスタビライザーが消えた!

 その変更点はかなり多岐に及んでいて、フロントはダンパー減衰力の伸び側を2割程度アップしたほかナックルの締結ポイントを変更。

 リアはスプリングを2割ほど柔らかくした一方でダンパーの伸び側減衰量をアップし、あわせてバンプストッパーやクロスメンバーブッシュの特性も変更しています。

 それに最適化すべく、電動パワーステアリング、KPC、DSC(スタビリティ―コントロール)、そして4WDの制御もブラッシュアップしました。

今回の試乗で最も乗り味の変化が大きいと感じたマイルドハイブリッドモデル、マツダ「CX-60 XD-HYBRID Premium Modern」(4WD)
今回の試乗で最も乗り味の変化が大きいと感じたマイルドハイブリッドモデル、マツダ「CX-60 XD-HYBRID Premium Modern」(4WD)

 しかし最大の驚きは、スタビライザー。

 これまでガソリン車を除く4WDモデルに装着されていたリアスタビライザーが、なんと2025年モデルでは全車取り外されているのです。

 つまり、サスペンションのセッティングは「小変更」という範疇ではなく、大きく仕立て直したというわけです。

 エンジニアによると「車体の動きをしっかりとコントロールするためにリアスタビライザーを外した」とのこと。

 リアスタビライザーを抜いたと聞くと、私たちはついつい「サスペンションの動きを柔らかくするため?」とか「コストダウンか?」などとイメージしますが、エンジニアは「決してそうではない」と言います。

 これまではスタビライザーの締結部分とショックアブソーバーやバネのサスアームへの取り付け部分との兼ね合いで、サスペンションの動きをコントロールしにくい領域があり「そこをきちんとコントロールするためにスタビライザーをはずした」と教えてくれました。

 試乗した2025年モデルのなかで、マイルドハイブリッドがもっとも従来との乗り味の変化が大きく、「従来のディーゼル2WDモデルに近づいた」と感じた理由はそのあたりにありそうです。

 いずれにせよディーゼル4WDモデルやマイルドハイブリッドの乗り心地は改良を受けた2025年モデルでかなり改良され、多くの人が「これなら納得」と思えるレベルに到達したといっていいでしょう。

 入力の衝撃が緩和されるとともに、フラットライド感が増しています。

 またサスペンション以外でも、トランスミッションの制御が改良されてギクシャク感が払拭されました。(当初問題となったマイルドハイブリッド車の「ゴキ」とか「ガリガリ」というトランスミッションの異音は制御プログラムアップデートで解消済みでもうありません)

「初期モデルは我々の理想を突き詰め過ぎていたところがある」と、試乗に先立ちマツダのエンジニアはそんな説明をしました。

 具体的にいえばそれはコーナリング性能であり、ワインディングロードにおける走りの楽しさです。

 確かにCX-60は初期モデルから、その領域においてSUVとは思えないドライバビリティを提供してくれました。運転して楽しいSUVだったのです。

 一方で2025年モデルはマツダ曰く「幅広いシーンでお客様に良さを実感してもらえるよう動的性能を進化させた」とのこと。

 ドライバーが運転を楽しめるSUVというだけでなく、同乗者も含めて幅広いシーンで良さを感じてもらおうというのが2025年モデルの狙いなのです。

 乗り心地と走りのバランスは、CX-60よりも快適方向に振った「CX-80」に近づけたといっていいでしょう。

 言われてみればCX-80もリアスタビライザーの装着がなく、今回のCX-60の改良もその知見を活かしておこなわれたということなのです。

 確かに、世の中にはCX-60よりも乗り心地のいい国産SUVは存在します。

 しかし、CX-60の運転はそれらより楽しいというのもまた事実。

 さらに、世界を見渡せばCX-60より乗り心地の悪いSUVも存在しますが、それらは「運転が楽しい」と強調されるうえで乗り心地は話題に上がることがほぼありません。

 間違いないのは、CX-60は運転好きとのマッチングがいいSUVだということ。

 改良を受けた2025年モデルに試乗して「最初からこのくらいバランスがよければ、ここまで敬遠されることはなかっただろう」と率直に思いました。

 従来のCX-60を体験した人も含めて、他人の評価だけで結論を出すのではなく、実際にディーラーで試乗して自分の感覚で評価することを強くオススメします。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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1件のコメント

  1. 結果、マツダらしさが無くなり、フニャフニャの足回りになってしまっている。改良前のモデルの足回りには明確な意図があった。それはコーナーリング時の横揺れ(ロール)の低減であったハズだ。その為にショックの車体側取付部にも非常に硬いブッシュが用いられたハズなのに…全て失った。コレではCX–60を敢えて選ぶ必要は無い。加えて、車両制御や先進システムに何ら変化が見られない。これからの車は「ハードよりソフト」と言われて久しいが、やはりマツダは、未だ「ソフトよりハード」旧態然のメーカーだ。と言う事だ。

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