“わずか4日”での受注停止のスズキ「ジムニー“ノマド”」がスゴイ! 3ドアの「シエラ」と全然違うってマジ? 見ただけでは“分からない”「開発の苦労話」とは

発表からたった4日で5万台もの注文を受け受注停止となったジムニー史上初の5ドアモデル新型「ジムニーノマド」。3ドアモデルである「ジムニーシエラ」とはにて非なる存在のようです。

生きて帰ってくるためのデザイン

 発表からたった4日で5万台もの注文を受け受注停止となったジムニー史上初の5ドアモデル新型「ジムニーノマド」。
 
 そのデザインについて担当者に語ってもらいました。そこから見えてきたのは、ジムニーならではのこだわりです。 

5スロットグリルがメッキ!?
5スロットグリルがメッキ!?

 そもそもジムニーは“生きて帰ってくること”を最重要課題として開発されおり、それはデザインにも表れています。

 例えばフロントを見てみると、ウインカーが外側に、ヘッドライトはその内側に独立して配されていることに気付くでしょう。

 その理由は林道などで枝などに接触したときにウインカーが割れてしまってもヘッドライトは割れない。

 その結果として夜、ヘッドライトを頼りに帰ってくることができるのです。そういった極限の状況まで想定したデザインを纏っているのがジムニーなのです。

 では5ドアのノマドにするにあたってどのようなデザインが考えられたのでしょうか。

 当然のことながら元々のジムニーの思想は踏襲されています。その上で340mm延長されたホイールベースがキーとなります。

 ジムニーは後ろに行くにしたがってすぼまっていくデザインになっています。これもフロントが通れれば後ろまで抜けられるという意味があります。

 そこでノマドでも同じようにしようとしました。しかし、リアゲートは3ドアと共通にしなければならないという制約から340mm伸ばしてしまうと入らなくなってしまったのです。

 だからといって途中を膨らませるわけにはいきません。そこで、スズキ商品企画本部四輪デザイン部デザイン企画課主幹の松島久記さんたちデザイナーは、スムーズに平面がつながるように見せるため、フロントドアの一番前から曲率を見直し、デザインしなおしたのです。

 松島さんは、ノマドをデザインするにあたって、「ジムニーの大きな特徴は高い悪路走破性です。そこでとにかく車両の延長量を最小にしたかったんです。車両を延長すれば延長するほど室内と荷室は広くなります。

 しかし重量が増えてしまいますし、何より悪路走破性が落ちてしまう。これはジムニーの機能に関わる部分ですので、デザイン部門も設計部門も力を合わせて細かいところまで検討して、とにかく最小の延長量でリアドアが成立するところを探っていきました」とコメントしました。

 そのうえで、単に伸ばしたように見せながら “ウナギイヌ”のように間延びしたデザインに見せていないことは高く評価したいところです。そして松島さんは、「ホイールベース延長量340mmというのは乗降性確保のためにミニマムであり、デザインを違和感なく成立させるためにはマキシマムです」と語りました。

ドアハンドルの位置にもこだわり

 もうひとつ、ノマドならではのこだわりのデザインがあります。それはドアハンドルの位置で、シエラよりも僅かに高い位置に配されました。その理由はリアドアハンドルを操作する際に手を入れる抉れた部分がリアフェンダーガーニッシュにかかってしまい、そこをカットしなければならなくなったからです。

 松島さんは、「絶対に許せませんでした」といいます。そこでなぜこのドアハンドルが使われているかの理由を調べたそうです。

 そうすると、軽自動車のジムニーと共通のものが使われており、全幅を軽規定値内に収めるためにフラットなドアハンドルとしたため、手を入れる部分を深くしなければならなかったからだということが判明しました。

 しかしノマドでは軽規格は関係ありませんので、少しドアハンドル部分を浮かせることで、抉っている部分に手が入りやすくなったため、そこを浅く出来ました。それでも僅かにリアフェンダーガーニッシュにかかってしまったことから、僅かに上に挙げたのだそうです。

乗降性確保のための工夫

 ジムニーの基本的な考え方はインテリアも共通です。Bピラーから前は3ドアとほぼ同じで、軍手などをしていても簡単に操作できるスイッチ類や、パワーウインドウスイッチもセンターパネルに配されています。

 これはドアに設けてしまうと斜面などで体があたったり、肘などで間違って押してしまったりすることを防ぐためです。

 そういったことを踏まえながら380mm延長した分をすべて後席と荷室に割り当てられました。それこそがジムニーを5ドア化する最大の要因だったからで、市場から、3ドアだと後席が使えないから諦めた。荷室がもうちょっと広かったらよかったという意見が上がったからでした。

 しかし前述の通り無駄にホイールベースは伸ばせません。そこでまずリアシートを3ドアよりも50mm後ろに移動し、かつ、ヒップポイントを20mm高くしました。また、シート幅も3ドアではリアタイヤハウスがあったことから狭くなっていたのですが、それも後ろに行ったことからよりシート幅を広くすることができたのです。

 しかし、乗降性では工夫が必要になりました。まずドアを開けた床の部分を30mm確保。そうしながらドア内張の下側をカットすることで足が抜けられるようにしました。

 しかし今度はお尻が引っかかりました。そこで室内側のタイヤハウスのでっぱりを見直すとともに、シート端の形状を丸くすることで解決。しかし、膝がBピラーの角にぶつかり痛い思いをした長身者が多かったことから、この形状も丸めるなどで解決していったのです。

 このようにジムニーの基本はしっかりと守りながら、必要最低限の延長量で後席と荷室を確保していったのは見事というほかありません。こういったことが高く評価されたのも5万台の受注につながったのでしょう。

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1件のコメント

  1. 些末な事ですが「…ジムニーは“生きて帰ってくること”を最重要課題として開発されおり…」デザイナーは「無事に帰ってくる」と言って居たような記憶が有ります。ある程度の語句の調整は解りますが。

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