「無免許運転を隠すため・・・」 僧侶の男が“偽造免許証”の使用で逮捕!偽造された免許証は一体何に使われる?
先日、交通事故の相手に偽造免許証を提示したとして、福岡県に住む僧侶の男が逮捕されました。実はこのように偽造免許証を悪用する事例は後を絶ちませんが、一体何に使われているのでしょうか。
SNSでは「偽造免許証」作成アカウントも多数!
2025年2月13日、交通事故の相手に偽造された運転免許証を提示したとして、福岡県みやま市の僧侶の男が偽造有印公文書行使の疑いで逮捕されました。
実はこのように偽造免許証を悪用する事例は後を絶ちませんが、一体何に使われているのでしょうか。

男は昨年5月、福岡県香春町の飲食店の駐車場でクルマを運転し、止まっていた別のクルマに接触する事故を起こしており、その際相手の男性に偽造免許証を見せた疑いがもたれています。
その後、相手の男性が110番通報をしている間に男がクルマで逃走したことから、警察が行方を追っていました。
偽造免許証には男の顔写真のほか、本物の運転免許証と同様に福岡県公安委員会の公印を模した印影が印刷されていたということです。
また警察の捜査で、男が数年前に運転免許を取り消されていたことも判明しています。
男は警察の調べに対し、「無免許運転を隠したい一心で、その場を乗り切ろうと思った」と話しています。
警察は無免許運転での立件も視野に入れ、偽造免許証の入手時期や入手経路などについて調べる方針です。
この事例のように偽造免許証を使用すると、刑法第158条第1項に規定する偽造公文書行使罪に該当し、検挙されれば1年以上10年以下の懲役が科される可能性があります。
加えて、使用する目的で免許証を偽造した場合も有印公文書偽造罪に当たり、同じ懲役刑が科されます。
また2025年2月には、運転免許証を印刷してプラスチックカードに貼り付けるという手口で合計7通の偽造免許証を作成したとして、奈良県三宅町に住む男が有印公文書偽造の疑いで逮捕されています。
この偽造免許証は、金融機関の口座開設や消費者金融での借り入れに使われたとみられています。
インターネットを利用した口座開設時には、金融機関が本人確認書類として運転免許証の撮影と写真の送付を求めるケースが多く、この点が悪用されているといえるでしょう。
さらに最近ニュースでよく取り上げられる匿名・流動型犯罪グループ(通称トクリュウ)が偽造免許証を利用してクレジットカードを契約し、スマートフォン代やガソリン代、生活用品の購入などに充てていたことも明らかになっています。
そのほか保険会社に勤務していた女が、保険の売上が足りなかったために架空の契約を作った後、偽造免許証を使って架空の契約者の口座開設をしようとして、偽造有印公文書行使の疑いで逮捕されたケースもあります。
なお偽造免許証は現在、SNSやネットオークションなどで比較的容易に入手できるようになっており、X(旧Twitter)においても「偽造免許証作成しています」「偽造免許証格安 DM(ダイレクトメール)にてお問い合わせください」などと宣伝するアカウントが多く存在します。
このようなアカウントは多数作成され、削除されても再び新しいアカウントが作られるといういたちごっこになっている現状もあります。
デジタル庁は偽造免許証などによる犯罪を防止するため、携帯電話の契約や金融機関の口座開設といった非対面時における本人確認書類について、原則マイナンバーカードの公的個人認証に一本化する方針を示しています。
この場合、マイナンバーカードのICチップに搭載された電子証明書を利用して本人確認をおこないますが、安全性の高い電子証明書によってなりすましやデータの改ざんなどを防止できることが期待されています。
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SNSで知り合った人に対して顔写真を送付した場合、それが偽造免許証の写真として悪用されてしまう事例もあります。
運転免許証といった本人確認書類の紛失には十分気をつけるほか、自分の顔写真を安易に送付したりインターネット上に公開したりしないことが大切です。
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