ピラーとは? Aピラー、Bピラー、Cピラーのアルファベットの意味

「Bピラー」が無い車が世の中には存在している

 ところで、世の中には「Bピラー」のないクルマも存在します。それが「ピラーレスハードトップ」と呼ばれるボディ形状。1990年代に日本でも多くのモデルが販売されていましたが、前席と後席の間の柱がなく、前後ドアの窓を開けると大開口部になるのが特徴です。スポーティで軽快に見えるというスタイリング面の理由が最大のメリットでしたが、柱がないので開放感が高いという長所もありました。

高級クーペには「Bピラーレス」のクルマも存在

 しかし側面衝突安全性を高めること(ピラーレスハードトップで対応するにはコストがかかる)などを理由に、2017年現在、オープンカーを除いて「Bピラーレス」の日本車はありません。

 いっぽうで輸入車としてはメルセデスベンツ・SクラスやEクラスのクーペ、ロールルロイス・レイス、ベントレー・コンチネンタルGTなど優雅さをアピールポイントとする高級クーペなどで今なおピラーレスハードトップを採用している例もあります。

可動式の「Bピラー」を採用しているダイハツ・タント

 また、変則的な「Bピラー」を装着する場合もあります。たとえばダイハツ・タント。車体に溶接で固定された「Bピラー」は存在せず、助手席側側面の前後ドアを同時に開けるとピラーのない開口部が出現します。しかし「Bピラー」が完全にないというわけではなく、前後ドアに内蔵されておりドアを閉じた状態では「Bピラー」が確認できます。可動式の「Bピラー」というわけです。

 メリットは、大きな開口部により乗り降りが楽になること。傘をさしたり子供を抱きかかえたままでも楽に乗り降りできます。

 安全性が気になるところですが、たとえばタントは、万が一の衝突の際の安全性を高めるために、「Bピラー」に相当する部分には超高張力鋼板という丈夫な金属を使用。上下に車体とドアがかみ合うロックを組み合わせることで、衝突に対応しています。

「たかが柱」ですが、時代の流れや流行、そして安全性能の向上とともにそのトレンドも変化。「されど柱」なのです。

【了】

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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