ハーレーダビッドソンの転換期を感じさせる新型「ソフテイル」のスポーティさ

ハーレーダビッドソンのラインナップは30機種以上あり、6つのカテゴリーのひとつの『ソフテイルファミリー』は、2018年ハーレーの転換期の始まりとなるのでしょうか。

『ソフテイルファミリー』のリアショックをモノショック方式に変更

2018年『ソフテイルファミリー』は大きく進化した

 ハーレーダビッドソンの創業は1903年と古く、115年もの歴史を持つ老舗メーカーです。創業家の子孫たちが熱意を持って、連綿と続く伝統あるスタイルを守っています。

 ラインナップは30機種以上あり、『ツーリング』『ソフテイル』『スポーツスター』『ストリート』『トライク』『CVO(カスタムビークルオペレーション)』という具合に6つのファミリーにカテゴライズされ、それぞれでエンジンや車体に特色があります。

リアサスペンションをモノショック方式に改めた「ソフテイルファミリー」

 2018年モデルの『ソフテイルファミリー』は、車体、エンジンともに大きく進化しました。骨格となるメインフレームを一新し、強度を高めたのと同時に、リアサスペンションをスポーツバイクに見られるモノショック方式に改めたのです。

アメリカの山岳路で「よく曲がる」ことを実感!

 筆者(青木タカオ)はそのニュースを聴き、すぐに渡米し新型ソフテイルたちに乗ってきました。ハーレーダビッドソンのジャーナリスト向け試乗会で、ロサンジェルス郊外の山岳路を2日間300マイル(約480km)を走り込んだのです。

「BREAKOUT114」

 先導が案内してくれた道のほとんどが曲がりくねったワインディングでしたが、いままで苦手だったコーナーの続く道を素速く駆け抜けることができたから驚きです。

 ハンドリングが軽快で、車体を右に左へ切り返す動きがスムーズにできます。車体を深く寝かすこともできますし、前後のサスペンションがしっかり働いてくれているのも手に取るようにわかります。

「DELUXE」

 2018年モデルの『ソフテイルファミリー』は、乗り心地が飛躍的に良くなっていて、朝から日が暮れるまで走りっぱなしでも疲れをさほど感じません。

 同行したシニアプロダクトマネージャーのケビン・ヒンツさんは言います。
「アグレシッブな走りを楽しめましたよね。これまでのソフテイルにはなかったエキサイティングなものです」

リサーチの結果、スポーティさが求められていることを知る

 走行しながら、あるいは走行後のディナーやバーで、ケビンさんは話してくれました。
「私たちはハーレーに乗っている人だけでなく、他のメーカーのバイクに乗っている人たちにも意見を聞きました。ディーラーやイベントで、ときには一緒にツーリングもしました。世界中3000人の声に耳を傾け、わかったことがあります。それは、もっと走りの性能を上げるべきだということでした」

 1984年に登場し、2017年まで製造された従来のソフテイルフレームでは、車体の底に2本のショックアブソーバを地面と並行するように水平配置した独創的な構造としてきました。

ハーレーダビッドソン シニアプロダクトマネージャーのケビン・ヒンツさん

 外観は、1950年代後半まで製造されたリアサスペンションを備えていないスタイルのようで、トラディショナルなフォルムを追求したソフテイルファミリーには相応しいものであったと言えます。

 しかし時代はハイスピード化され、1984年の時点で排気量1340ccだったエンジンは、2000年に1450cc、2007年に1584cc、2016年に1690ccと拡大していきます。アメリカの高速道路での制限速度が上がったことが背景にあり、スピードアップを求めた結果のことでした。

 そうなると、サスペンションの稼動量を充分に確保していない旧ソフテイルに、ユーザーらは不満を持つようになります。たとえば、ハイスピードで大きな段差を乗り上げると衝撃を吸収しきれず、著しく車体の安定感を欠くといったことが起こりました。

 これは新型ソフテイルの開発チームも熟知していて、ケビンさんも「妻と2人乗りしたとき、衝撃を受けるとリアシートの妻は必死にしがみついていたよ」と、振り返ります。

 そもそも旧ソフテイルファミリーは、トラディショナルなスタイルを重視したモデルたちだったので、そこまでの走行性能を求めていなかったのです。

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