まさかのスズキ新型「ジムニー」は出ない? 去年話題の「カクカクなシルエット」はどうなった? 電動化が難しい理由とは
スズキは2024年11月4日、同車のBEV世界戦略第一弾となる「eビターラ」を発表しました。この際に鈴木俊宏社長はジムニーEVの発売について否定的な見方を示したというのです。
「ジムニーEV」の計画は白紙? 驚くべきニュースとは
スズキの新しい世界戦略車として、華々しいデビューを飾ったBEV第1弾「eビターラ」。
同社が2023年に発表したBEVの世界戦略計画がいよいよスタートしたわけですが、一方で驚くべきニュースも飛び込んできました。
ミラノで行われたeビターラの発表会において、鈴木俊宏社長はジムニーEVの発売について否定的な見方を示したというのです。
これは欧州の複数メディアに語ったもので「ジムニーをEV化すると、もっともいい部分を台無しにするだろう」というのです。
そもそもジムニーEV化については、メディアや市場の予想で出たきた話ではありません。
同社が行った2030年までのEV世界戦略の発表会にて、将来欧州に投入されるEV6台のうちの1台として、シルエット化されたジムニーが描かれていたのです。
世界のメディアはこれを信じて記事などにしてきたわけですから、今回の鈴木社長のコメントはまさに青天の霹靂ともいうべきもの。
なぜ、ここにきてジムニーEV計画が白紙になったのかを検証したいと思います。
さて、ジムニーは日本だけでなく、欧州やアジア、南米の各地で人気のあるクロスカントリー4WDです。
小型ながら、伝統的かつ本格的なラダーフレーム構造とリジッドアクスル式サスペンションを歴代モデルで受け継ぎ、優れた悪路走破性と高い耐久性を備えている唯一無二のクルマなのです。
海外で販売されている「ジムニー(日本名ジムニーシエラ)」の車重は、わずか約1t。
鈴木社長が言及している通り、実はジムニーの特徴はこの軽量さとコンパクトさにあると言っても過言ではありません。
一般ユーザーには、レジャーユースのクルマとして捉えられがちですが、実は日本をはじめとする各国では、ジムニーはプロユースとしての需要が非常に高いクルマです。
例えば主要輸出国のひとつであるドイツでは、同国の主要産業である林業で重宝されています。
ジムニーに設定されているキネティックイエローは、こうした現場で視認されやすいカラーとして考えられました。
日本でも、山岳地帯、降雪地帯などの工事現場ではジムニーが使われていることが多く、筆者も地形改良工事の南アルプス山中で、日頃では見たこともないほどたくさんのジムニーが働いている姿を目撃しています。
プロユースで使われる大きな要因は、道幅が狭いという条件でも臆することなく入ることができ、いざとなれば転回もできます。
くわえて、車重が軽いゆえに重量車では重くて埋まってしまうような路面状態でも、ジムニーなら走れることが多いのです。
実際、オフロードコースなどを走ってみると、トヨタ「ランドクルーザー」ではクリアできなかったようなステージを、ジムニーが難なくクリアしてしまうということが珍しくありません。
クロスカントリー4WDにとって、“小さい”“軽い”は性能的に有利な条件なのです。
EV化すれば、駆動用電池を新たに積載するために、どうしても重量増の傾向にあります。
つまり、せっかく1t(5ドアでも1.2t)で済んでいる車重を重くすれば、せっかくの悪路走破性が削がれてしまうというわけです。
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