全長4.2mのトヨタ「小さなクラウン!?」が存在! めちゃ“豪華内装”にパワフルな「V型6気筒エンジン」搭載! 高級すぎるハッチバック「マスター」が凄い!
自動車史には、時代さえ違えば大ヒットの可能性のあった「誕生が早すぎた」モデルが数多く存在します。トヨタの小さな高級車「ブレイド」もまさにそのようなクルマでした。
クラウン級のトヨタ「高級ハッチバック」とは!
エクステリアやインテリアの上質さにこだわった「高級なクルマ」といえば、セダンタイプに多いイメージがあります。
一方でハッチバックタイプは、ファミリーカーなどの、いわゆる「お手ごろなモデル」が多い印象が持たれがち。
しかしトヨタは、国産車としては珍しい高級志向の国産ハッチバックを販売していました。
それが、2006年12月に発売した5ドアの乗用車「ブレイド」です。
ブレイドはフォルクスワーゲンのゴルフなど、海外のプレミアムハッチバックを競合として開発された、当時の日本車としては珍しい高級志向のハッチバックでした。
プラットフォームやボディなど、多くの部分を同じトヨタのハッチバック「オーリス」と共有する兄弟モデルではありますが、より高級感のあるエクステリアとなっているのが特徴。
例えばデザイン面では、専用エンブレムを備えた特製の大型フロントグリルを装備し、ランプ類も高級感のある専用のL字型とするなど、プレミアム感を高める意匠を採用しています。
またインテリアも、スエード調のアレンジが加えられたダッシュボードや、人工皮革を用いたうえパワーアシスト機能も持つ上質な座席を備えるなど、内外装にわたって高級感あふれるものに仕上げられていました。
そんなブレイドの基本モデルのパワーユニットは、2.4リッターエンジンを搭載し、最高出力は167馬力を発揮。
これに7速のスポーツシーケンシャルシフトマチック「Super CVT-i」を組み合わせています。
サスペンションやブレーキは、標準でもハイグレードのものを装備することで、ベースのオーリスと差別化。
駆動方式はFFと4WDが用意されていました。
そんなブレイドでしたが、2007年8月に真打ちとなる新グレード「ブレイドマスター」が追加されます。
このブレイドマスターは、なんとパワーユニットに大排気量3.5リッターV型6気筒エンジンを搭載。
最高出力は280馬力と、当時の国産ハッチバックとしては破格の性能を誇りました。
また、トランスミッションもパドルシフト付きのスーパーインテリジェント6速ATを採用し、「より走りに特化したモデル」だと主張。
このようにして、高級感に高い走行性能も兼ね備えたブレイドマスターは、驚きとともに注目を集めたものの、ブレイドのモデル廃盤にともない2012年6月で販売が終了。
結果としては、ブレイド全体で約5万5000台が販売され、ブレイドマスターはそのうち約3000台に終わりました。
ハッチバックにも高級感を求めた「ショート・プレミアム」という新しいジャンルを標榜したものの、残念ながら多くの支持を得ることはできなかったのです。
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わずか6年で販売終了となったブレイドおよびブレイドマスター。
ハイパワーエンジンを搭載した国産高級ハッチバックは当時珍しい存在でしたが、その後の日本の自動車市場では、同車のような高級志向の小型モデルの認知が進み、2023年12月には、トヨタ「ヤリスクロス」をベースとする“小さな高級車”レクサス「LBX」が発売して人気を博しています。
そう考えると、ブレイドシリーズは単発に終わった実験的モデルではなく、現在まで繋がる開拓者の一端だったのかもしれません。