全長4.6m級! トヨタの「SUVミニバン」がすごい! 斬新“カクカクボディ”に「画期的スライドドア」採用! ちょうどいいサイズの「Xバン」登場に期待

トヨタ車体が昨年2023年の「ジャパンモビリティショー」で展示した「X-VAN GEAR CONCEPT」とはどのようなクルマなのでしょうか。

トヨタの「SUVミニバン」!? カテゴリの牽引役になるか

 アウトドア志向のミニバンといえば、三菱「デリカD:5」を思い浮かべる人が多いでしょう。2024年6月に発売されたばかりのホンダ「フリード」にも「クロスター」という、ミニバンの利便性とSUVのタフネスさを融合させたモデルが存在します。
 
 そして、トヨタグループのひとつであるトヨタ車体も、去る2023年10月に開催された「ジャパンモビリティショー2023(以下JMS2023)」において、同様なコンセプトカーを世界初公開していたのです。

斬新スライドドアを搭載した「クロスバン ギア コンセプト」
斬新スライドドアを搭載した「クロスバン ギア コンセプト」

 それが「X-VAN GEAR CONCEPT(Xバンギアコンセプト、以下Xバンギア)」でした。

 JMS2023では参考出展車という位置づけだったXバンギア。トヨタ車体によると「多様化するライフスタイルに合わせ、すべての人が人生を楽しむ次世代のキャブワゴン」というコンセプトのもとに開発されています。

 乗用ミニバンの大空間とSUVのアクティブスタイルを両立した新しいカテゴリーに属し、シンプルにまとめた運転席まわり、明るくソファのようなシートと開放的な天井でリビングのような室内を持ちます。

 Bピラーレスによる大開口ドアは、自転車や釣り竿などの趣味のアイテムの積み下ろしが可能で、3列シートを採用することで助手席が回転したり、2列目をテーブルにしたり、使用用途に合わせ6つのパターンのシートアレンジが可能。

 なお、Xバンギアのボディサイズは全長4695mm×全幅1820mm×全高1855mm、室内のスペースは長さ2965mm×幅1550mm×高さ1340mm、乗車定員は6名となっています。

 ちなみにデリカD:5は全長4800mm×全幅1795mm×全高1875mm、室内のスペースは長さ2980mm×幅1505mm×高さ1310mm、乗車定員は7または8名。

 トヨタのミディアムサイズミニバン「ノア/ヴォクシー」は全長4695mm×全幅1730×全高1895mm、室内のスペースは長さ2805mm×幅1470mm×高さ1405mm、乗車定員は7または8名。

 これらのミディアムサイズミニバンと比較すると、Xバンギアはノア/ヴォクシーと同じ全長、全幅は90mmワイドで、全高が40mm低くなっています。室内スペースは160mm長く、80mm広く、同クラスよりも大幅に広い空間を実現しました。

 全体的に角張った外観は、どことなく「ランドクルーザー250」に似た雰囲気すら感じさせます。

 また、Xバンギアの注目すべきポイントとして、フロントおよびリアドアが真横から見たときに左右にスライドして開閉する点が挙げられます。

 この機構はアイシンが開発し「センチュリー」のリアドアで初お目見えした「リンク式パワードアシステム」。

 狭い駐車場での乗り降りが容易になるだけでなく、テントなどのキャンプ用品やサーフボードなど、積み下ろしが大変な道具を扱うときにも重宝しそうです。

 そして室内は、ブルーとライトグレーの明るいカラーを基調としたモダンな雰囲気となっています。天井はパノラマルーフとなっており、開放感は抜群です。

 走行性能などは不明ですが、本格四駆並みの地上高を持っていたことからミディアムサイズミニバンとしては走破性能も追求されていたかもしれません。

※ ※ ※

 現在、「SUVミニバン」のカテゴリーはデリカD:5の独壇場となっています。

 サイズはひとまわり小さくなり、走破性能などは異なっていますが、アウトドア“映え”するモデルとしてフリードクロスターがこれに加わりました。

 Xバンギアについて、今のところ市販化にまつわる情報は一切発表されていませんが、もしトヨタがXバンギアをラインナップに加えたら、このカテゴリーはさらに盛り上がる可能性があります。

「ミニバンの使い勝手さは魅力だけど、生活感があるクルマは苦手」といった、これまでSUVに流れていたユーザーを取り込む、「SUVミニバン」。

 そのゲームチェンジャーとなるべく、Xバンギアのデビューに期待です。

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Writer: 松村透

株式会社キズナノート代表取締役。エディター/ライター/ディレクター/プランナー。
輸入車の取扱説明書制作を経て、2006年にベストモータリング/ホットバージョン公式サイトリニューアルを担当後、2013年に独立。フリーランスを経て株式会社キズナノートを設立。現在に至る。
2016年3月〜トヨタ GAZOO愛車広場連載中。ベストカー/ベストカーWeb/WebCARTOP他、外車王SOKEN/旧車王ヒストリア編集長を兼務する。

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