新車が22万円! めちゃ低価格な「“4人乗り”コンパクトカー」が存在! 天才「タマゴ型ボディ」採用した「世界一安いクルマ」NANOとは
かつて「世界一安いクルマ」として話題になったタタ「ナノ」は、今どうなっているのでしょうか。
「ナノ」ってどんなクルマなの?
自動車は数万にも及ぶパーツで構成された集合体であるため、コスト削減を追求したとしても、極端に低価格化することは容易ではありません。
しかし海外を見ると、日本円にして約28万円という新車価格を実現したモデルが存在していました。
このモデルについて、一体どのような評価が寄せられているのでしょうか。
そもそも、ナノがどのようなクルマだったのかを知らない人もいるでしょう。
ナノは、先述のようにタタ・モーターズから発売された4ドアタイプのコンパクトカーです。(リアドアが開かない構造なのでハッチバックではない)
ボディサイズは全長3100mm×全幅1495mm×全高1600mmで、重量は580kgから600kg。
この小さな車体に搭載するパワーユニットは623ccの直列2気筒SOHCエンジンで、最高出力34馬力を発揮し、4速MTを組み合わせて最高速度は105km/hを実現しました。
見どころとなるのがやはり圧倒的な低価格で、車両価格は11万2735ルピー(当時の日本円換算で約22万円)。
当時のインドで最も安いとされていたクルマは、マルチ・スズキ・インディア「マルチ・800」の20万ルピーでしたが、なんとナノはこれのほぼ半分という金額です。
ラタン・タタ氏がナノの開発計画を発表した際には、各方面から「無謀」「無理」という批判が寄せられましたが、蓋を開けてみれば、ほぼ宣言どおりの値段で販売可能なクルマを作り上げたのです。
この低価格が実現できた理由は、徹底した「コストカット」にあります。
なんと片方のドアミラーを廃止し、ワイパーも1本のみ、部品点数を極力減らすとともに塗装も抑え、エアコンやオーディオといった装備もありません(上級仕様には搭載)。
一方で、エアバッグなどの安全機能も省かれたため安全性能は低く、日本市場へは安全基準を満たせないことから投入は見送られました。
このような低価格で大きな話題となったナノは、初期ロットが抽選販売になるほどの注目を浴びますが、意外なことに売上は芳しくありませんでした。
また2010年には欧州でも販売を開始しますが、販売開始から5年間の累積販売台数は24万台。
これは当初見込んでいた年間販売25万台にはるかに届かない、悲惨な数字だったのです。
しかも製造コストは思いのほか高かったため、作れば作るほど赤字になるともいわれており、ついに2016年4月をもって初代ナノは販売終了となってしまいました。
販売を終える前年は1台も生産され無かったという話もあり、販売終了も致し方ないでしょう。
そんなナノですが、実は販売終了の前年にフルモデルチェンジを行っており、名称も「GenX Nano」へと変更。
こちらは電動パワーステアリングを搭載するなど、初代モデルと比べて若干豪華になりましたが、そのため販売価格も約20万ルピーへと上昇。
「安さ」という最大の魅力を失った結果、こちらも販売不振で2018年にお役御免となっています。
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このように世界の自動車業界を震撼させたナノですが、実はすでにシリーズ販売が終了しており、後継モデルも登場せず消滅してしまっているのです。
安いということは購入しやすさに繋がる素晴らしい特徴ですが、ただ安いだけでユーザーに受け入れられるわけではなく、商品をヒットさせるのは簡単なことではないということでしょう。
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