驚きの「盗難手法」が増加中? 盗難車のロンダリング「目玉抜き」とは? 車台番号張替えが横行か

事故で大破したクルマからも車台番号を切り取る?

 目玉抜きを実行するには前述の「B車(車台番号含む書類)」が必要となります。

 B車の車台番号を切り取って盗難したA車に貼り付けるわけですが、そのB車はどうやって入手するのでしょうか。

 これにはいろいろな方法がありますが、一例として業者オークションで大破したり水没したりしたクルマを入手し、そこから車台番号や書類を入手する方法があります。

 業者オークションには「事故車・水没車コーナー」が設置されることがありそこに出品された全損車を書類(車台番号の刻印やコーションプレートなどの総称)込みで買い取って盗難車に貼りかえる手法です。

 例えば2024年9月に開催された業者オークションでは大破した全損の30アルファードが200万円(税込み)近い価格で落札されています。

 他には車両火災によって全焼となり骨組みしか残っていない国産高級車が100万円以上で落札されたことも何度かありました。

 盗難車などの訳あり車を「復活」させるには、「書類」がいかに重要かということなのです。

 ところで盗難車と知らずに買ってしまったらどうなるのでしょうか。

 運輸支局に実際の書類を見せて確認したところ、「名義変更は書類さえそろっていれば不可能ではない」とのこと。

 しかし、車検は走行距離やエンジン型式なども確認されるため、名義変更よりはハードルが上がります。

 また、驚きの事実を前出のX氏が教えてくれました。

「とくに最近増えているのが、クルマ自体は30アルファードなのに、車台番号が20アルファード(2代目)になっている車両です。

 30系と20系では外観のデザインや内装の仕様も全く違いますが、車台番号が刻印される位置はほぼ一緒です。

 10系アルファードはボンネットの中でしたが20系から運転席の下になりました。

 どちらも形状はそっくりですから、税関などでは意外と気づかれないこともあるでしょう。

 つけた位置はかなりズレていても、一般にはわからないでしょう」

クルマが盗難されると警察に盗難の被害届を出しますが、それが受理されると車検証に関連した書類に「盗難情報設定中」と記載される(画像:ユーザー提供)
クルマが盗難されると警察に盗難の被害届を出しますが、それが受理されると車検証に関連した書類に「盗難情報設定中」と記載される(画像:ユーザー提供)

 では、「盗難車」を買わないためにはどのような部分に注意すれば良いのでしょうか。以下がそのまとめです。

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 ・中古車情報誌などでそのクルマの相場を調べて相場より50~100万円以上安ければ警戒。

 ・購入時、売人は現金での支払いを要求。「現金で買うと納車待ちの順番を上げてあげる」などといわれたら、その店で買うのはやめましょう。盗難車の可能性もあり、またお金だけとって納車しない可能性もあります。

 ・購入予定車の車台番号、名義変更のための書類、車検証などは必ず購入前に確認。
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 とくに個人売買、オンライン販売には要注意です。

【画像】これが盗まれやすいクルマの特徴です。(26枚)

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Writer: 加藤久美子

山口県生まれ。学生時代は某トヨタディーラーで納車引取のバイトに明け暮れ運転技術と洗車技術を磨く。日刊自動車新聞社に入社後は自動車年鑑、輸入車ガイドブックなどの編集に携わる。その後フリーランスへ。公認チャイルドシート指導員として、車と子供の安全に関する啓発活動も行う。

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