スバルが作った「究極のBRZ」って何? 「速いだけじゃない…」 アイサイトも搭載されるの凄くない? S耐マシンに試乗!
レーシングカーでも安全装備を装着!? 実はアイサイトも付いてます!
更にレーシングカーでは珍しい先進安全装備も試しました。1つは「SRVD(後側方確認支援システム)」。
これは量産車にも採用される機能ですが、コーションがドアミラーではなくフル液晶メーターに表示(左側からの接近時はメーター左、右側からの接近時はメーター右が黄色く点灯)に変更されています。これにより視線移動を最小限に確認ができます。
レースではより速い車両が後ろから接近するシーンが多々ありますが、そんな時でも素早く確実に判断・対処が可能だと思います。
もう1つはアイサイトを活用した「FCY(フルコースイエロー)時前車追従」です。S耐ではFCY時の走行速度は上限50km/h。
その時にステアリングにある「FCYボタン」を押すと50km/hリミッターが掛かりますが、その時にアイサイトの活用で前車の速度変化に合わせて追従走行をしてくれます。
と言っても量産車のようなブレーキ制御は無くエンジンブレーキのみなので実感は少ないものの、富士24時間のように長時間レースでは負担軽減に繋がってくれるはずです。
更にFCYボタン作動時にアクセル全開にすると「トルクホールド機能」が働きます。
これはスロットル全開のままでトルクが出ないように点火を抑え、FCYボタン解除に合わせて点火を再開させることで、ポンピングロスをなくトルクを素早く引き出せる機能と言うわけです。
実際に試してみると、FCYボタン作動中にアクセルを踏むとターボのアンチラグのように「バリバリ音」が発生、すぐにFCYボタンを解除すると瞬間的にドーンと背中を押されるくらい瞬発力を見せてくれました。
例えるならばFCY解除に合わせて普通にアクセルONだと「いちについて→よーい」の状況ですが、トルクホールド機能を使うと常に「よーい」の状況となり、その力を即座に発散できる環境ができると言う考えです。
本井総監督は、「FCY解除時、ターボのGR86にダッシュ力で負けないために生まれた機能ですが、実はこのアイデアを応用したのが『NA版アンチラグ』になります」と教えてくれました。
※ ※ ※
スバルが量産の枠を超えて開発を行ないレースフィールドで鍛え上げてきたBRZ CNFコンセプトは、現時点における「究極のBRZ」と言っていいと思います。
それもほとんどのアップデートが市販車にフィードバックできそうな技術で成り立っている事が凄いです。
もちろん、魔改造すればまだまだやれる事や伸び代はあると思いますが、それはハイパフォXに託します。
先日改良されたD型に採用された「SPORTモード」は、このBRZ CNFコンセプトで培った技術の一部を応用した機能ですが、他の部位に関してもどんどん採用すべきでしょう。
個人的にはBRZ CNFコンセプトの市販バージョン「BRZ tuned by SDA」の市販化のほうも期待したい所です。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
コメント
本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。