なぜ日本で「謎のスーパーカー」誕生? ゼロから「ダンボール」で作った「ダンボルギーニ」ってナニ? 「震災復興のために…」3.11から13年経った現在
人気スーパーカーとして名を轟かせているランボルギーニ。そんなランボルギーニをダンボールを使って実物級に再現した「ダンボルギーニ」が一躍話題となりました。一体どのような経緯で誕生したのでしょうか。
ダンボールで作られたランボルギーニ!? 超絶インパクトをもつダンボルギーニに込められた復興への想い
人気スーパーカーの代表格的存在を示している「ランボルギーニ」。
2015年、そんなランボルギーニをダンボールを使って再現した「ダンボルギーニ」が登場し注目を集めました。
一体どのような経緯で誕生したのでしょうか。
ダンボルギーニを制作したのは、宮城県石巻市に本社を置く今野梱包株式会社です。
今野梱包会社は、トライウォールと呼ばれる強化ダンボールを取り扱っています。
これは世界で最も厳しい規格と呼ばれる米国連邦規格PPP-B-640dに適合したもので、その強度の高さが窺えます。
素材も森から調達されたバージンパルプとリサイクルペーパーが使用されており、環境に配慮した持続的な生産が実現されています。
ダンボールをメインに取り扱っている今野梱包株式会社が、なぜランボルギーニを再現するという企画にとりかかったのでしょうか。
その背景には、2011年3月11日の東日本大震災があります。
宮城県石巻市は、震災によって大きな被害を受け、今野梱包株式会社も被災しました。
全国からの支援のもと、少しずつ石巻市の復興は進んでいきましたが、その一方で若者たちは進学や就職に伴って続々と街をでていくことに。
その現状を危惧した社長の今野氏は、もっと自分たちの街に「夢」を見せるべきだと考えます。
そこで、自分の夢や憧れを形に示すために、今野氏が幼い頃から憧れていたランボルギーニをダンボールで再現することを決意し、ダンボルギーニ・プロジェクトが始動したのです。
ランボルギーニの実物は手元にないため、設計はネットの画像やラジコンをもとに、16分の1サイズから製作をはじめ、ついで2分の1サイズに大きくしていきました。
また、製作の過程では、ダンボールならではの硬さや厚みにどう対処するか苦労したようです。
硬く厚みがあるダンボールは、紙のように曲げることができず、また折り曲げたり重ねたりするときの厚みも細かく計算しなくてはなりませんでした。
特にタイヤ部分には苦戦したようですが、それでも溝1本1本やホイールのディテールまで本物に寄せるようにしたとのこと。
製作においてこだわった点について、今野氏は次のように話しています。
「部分的にこだわり過ぎると全体のイメージが歪になったりするので、何度も作り直しや部分試作をおこないフォルムの再現度にこだわりました」
紆余曲折を経て完成に到達したダンボルギーニは、今野氏のこだわりにより鮮やかなピンクがボディカラーとして採用されました。
完成後、女川町で復興計画の一環として建設された商店街に展示され、復興の象徴として注目を集めるようになります。
さらに、女川街本物のランボルギーニとの共演も実現し、復興活動に大きな印象を残しました。
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