スズキが新型「クーペSUV」発売へ! 「小型クロスオーバーの本命」登場か!? 新型「フロンクス」に速攻試乗! 驚きの実力とは

FFに加え、日本専用の4WDも設定!

 実は筆者(山本シンヤ)は、選考委員を務める「ワールド・カー・アワード(WCA)」の試乗会(2023年末にアメリカ・ロサンゼルスで開催)で新型フロンクスに先行試乗しています。

 その時の乗ったのは左ハンドルの1.2リッター直列4気筒(恐らくインド仕様)でしたが、ハンドリングは大味のモヤっとしたモノで、「スズキの登録車は、走りより価格重視なのかな?」とガッカリでした。

 なので、正直言うと今回の日本仕様にもあまり期待していませんでしたが(失礼)、走り始めて「えっ、全然違う」。もちろん「いい意味で」です。

スズキ新型「フロンクス」(プロトタイプ)
スズキ新型「フロンクス」(プロトタイプ)

 具体的には、正確性の高い上に芯の強いステア系、背の高さを感じさせないボディコントロール、ロールを抑えながらも前輪依存ではない旋回姿勢、ドシっと構えるリアの安定感など、フットワークに関しては「クロスオーバーSUV」というよりも「目線の高いスイフト」といっていいレベルです。

 キビキビした走りと落ち着きある挙動とのバランスは、スイフト以上と言ってもいいかもしれません。

 タイヤはグリップ重視ではありませんが、想像以上に粘るので不安な感じは全く無し。

 今回の走行は「スキール音NG」でしたが、そのギリギリを楽にコントロールできるハンドリングの懐の深さは、コンパクトクロスオーバーSUVの中ではトップレベルと言ってもいいでしょう。

 ちなみに重箱の隅をつつくと、FFは比較的軽快なクルマの動き、4WDは比較的重厚で落ち着いたハンドリングに感じました。フロンクスのキャラを考えると、個人的には4WDのほうが似合っているかなと思った次第です。

 なお、4WDは日本専用に新開発されたものとなっており、海外では設定されていません。

 今回は路面環境が良かったので、快適性については断定できないものの、比較的硬めでコツコツとした感じは受けたのですが、雑味が抑えられた足の動きと衝撃を上手に丸め込むショックの吸収性などから、シャキッとしているけど“いなし”の効いたドイツ車的な乗り心地に仕上がっています。

 もちろん、予防安全技術・運転支援機能も抜かりなしで、進化したデュアルセンサーブレーキサポートII、全車速追従&停止保持機能付アダプティブクルーズコントロール、車線維持支援機能(LKA)などを用意。コネクテッド機能も充実しています。

※ ※ ※

 これまでのスズキのクロスオーバーSUVは「隠れた実力者」と言った印象が抜けませんでしたが、新型フロンクスはデザイン・走りともに「コンパクトクロスオーバーの本命」と言っていいモデルに仕上がっています。

 価格はまだ公表されていませんが、ライバルも驚くプライスを掲げてくると予想しています。

「個性的」、「走りがいい」、「お買い得」と三拍子揃った新型フロンクスは、スイフト/ソリオと並ぶ、スズキの基幹車種に短期間で成長するのは間違いないと思います。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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