日産「新型 オーラNISMO」初公開! まるで”国産ポルシェ”な「小さい高級車」! GT-Rチューンな4WDも新搭載の「すごいノート」の実力とは
その実力は“ポルシェ感”もある?
新型ノートオーラ NISMO 4WDの動力性能は、車両重量がFF+110kgの1390kgと重いものの、発進加速はFFモデルと同じく軽快かつ俊敏です。ただ、4WDによるトラクションの良さに加えて、加速時でもクルマの姿勢が常にフラットに保たれるので、いい意味で“速さ感”は少なめかなとは思います。
一方、高速での追い越しなど巡航→加速などのシーンでは、「もう少し“馬力”が欲しい」と欲が出るものの、開発コンセプト「Agile Electric City Racer」を考えれば十分かなと。
それよりも3気筒特有のエンジンのビートがNISMOっぽさを削いでしまっているほうがガッカリ。せっかくアリアNISMOで「NISMO EVサウンド」を作り上げたのなら、こちらにも水平展開すべきでしょう。
減速時はノーマルと同じく絶品。僅かに前荷重になるも基本はフラットな姿勢のまま変速する様は、ブレーキング時に荷重が前に移動してもリアの荷重が抜けにくいRRレイアウトを採用するポルシェ911と良く似ています。
完全停止はブレーキを踏む必要がありますが、日常域からワインディングまでワンペダルでリズムよく走れると思います。
フットワークを一言で言うと、驚きの旋回性能です。操舵時の応答の鋭さや姿勢変化を抑えたクルマの動きはFFのオーラNISMOと同じですが、そこから先は別格です。
もう少し具体的に言うと、旋回中はアンダー知らずでドライバーが狙った通りに曲がれるライントレース性の高さと、+110kgの重さを全く感じさせない軽快なクルマの動き、更に4つのタイヤの能力を効率的かつ最大限に使いながらコーナリングする様は、むしろエクストレイル/アリアの「e-4ORCE」で感じたドライブフィールに近いと感じました。
更に上記の2台と比べると圧倒的に軽量なので、旋回速度に関しては本格スポーツカーに引けを取らないレベルだと思います。
ちなみにe-4ORCEは前後の駆動力と4輪のブレーキを緻密に制御するシステムですが、「オーラNISMOは前後の駆動力制御のみで実現しているのは、なぜ?」と開発者に聞くと「クルマが軽量なのとリアの接地性が高いので、ブレーキ制御を使わずに同じ走りができるのです」と教えてくれました。
更なる驚きは旋回加速時で、アクセルの踏み込みにあわせてリアタイヤの蹴り出しを感じると共に、アクセルで旋回姿勢をコントロール…つまり駆動で曲げる感覚がある事です。
さすがにオーバーステアにも持ち込めるような力強さはないものの、「4WDなのにまるでFRのような自在性、どこかで味わった事があるな?」と考えると、第2世代スカイラインGT-RのアテーサE-TSを思い出します。
「横置きFFベースの4WDなのになぜ?」そんな疑問を開発者に聞くと、「リアモーターの出力アップでリアタイヤが担う駆動を増やすことができたので、フロントタイヤはより旋回に使えるようになった事が大きいと思います。
加えて、当時のアテーサE-TSを知る『匠(=神山幸雄氏)』がセットアップしていますので」と教えてくれました。
ちなみにこの4WDシステムは「NISMO tuned e-POWER 4WD」と呼びますが、日産にしてはネーミングのセンスが下手な気がします。個人的には「アテーサe-4ORCE」と呼ぶくらい、攻めてもいいと思っています。
ちなみにドライブモードによって走りの味付けは異なります。どのモードでも、より速く、より気持ちよく、より安心して走る事はできますが、ECOモードはとにかく安定方向、NOMALモードはオンザレールだけど機械の介入を感じない自然な旋回フィール、そしてNISMOモードは面白いくらいグイグイ曲がる印象でした。
ただ、旋回速度がスポーツカー並みに高いのでノーマルシートではホールド性が少々厳しい時もあるかもしれません。
そのため、走りの面だけで言えばレカロシートはマストですが、路面からの入力はFFのオーラNISMOよりダイレクトな印象で、日常域ではバネ上がヒョコヒョコ動く落ち着きの無さは少々気になるところ。
対するノーマルシートは路面からの入力を上手に吸収してくれるようで、快適性はスポーツモデルにしては悪くないレベルかなと。どちらも一長一短あるので悩ましいですが、用途や予算に合わせて選んでほしいと思います。
もし筆者が買うならば、普段は高速移動が多いので、BOSEパーソナルプラスサウンドシステム優先してノーマルシートかなと。
気になる4WD車の価格(消費税込み)はFFの40万1300円高となる347万3800円です。これにオプションのレカロシートやナビゲーション+プロパイロットなどをプラスしていくと、それなりの価格になってしまうのも事実です。
Bセグメントのハッチバックにしては「高すぎだろ」と思う人もいるかもしれません。ただ、コンパクトな電動AWDスポーツハッチと言う“唯一無二”の存在で、指名買いしたくなる魅力を持つ一台である事は間違いないです。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
ポルシェとかゲスな形容して茶化してるんじゃねえぞ
例えるならかろうじてvwのRかな
そのまえに、煽るなら先代nismoのときにやっとくべきでしょ
epowerのモータートルクはもともと凄かった
e-powerでFRを作ってくれたらイノベーションになるよ。