“日本一売れてるクルマ”ホンダが2年ぶり首位陥落!? スズキ「軽ワゴン」なぜ“単月トップ”に躍進? 王者N-BOXがピンチに陥ったワケ

スズキがトヨタに次ぐ2位にランクイン! なぜ好調?

 そしてスペーシアの好調は、最近のスズキの置かれた状況を象徴しています。2020年以降、スズキの国内販売台数は、トヨタに続いて2位になるからです。2024年1~6月も同様です。

 ちなみに国内販売ランキングの推移を振り返ると、2010年頃までは、多少の変動はあっても基本的に1位がトヨタ、2位が日産、3位がホンダ、4位がスズキ、5位がダイハツでした。

 それが2011年以降は、日産が新型車を減らしたこともあり、国内販売ランキング順位が下がり、2010年代中盤には、日産は、ホンダ、スズキ、ダイハツに抜かれて5位まで後退しています。

スズキ「スペーシア/スペーシアカスタム」
スズキ「スペーシア/スペーシアカスタム」

 さらに2022年には、ホンダも4位に後退して、1位がトヨタ、2位がスズキ、3位がダイハツになったのです。直近の2024年1~6月は、ダイハツが出荷停止によって5位まで後退しましたが、2位のスズキは変わりません。

 スズキの販売ランキング順位が高い背景には、2つの理由があります。ひとつは昨今の軽自動車の売れ行きが好調なことです。

 スズキは軽自動車が中心のメーカーですから、軽自動車の人気が高まると、スズキの国内販売台数も増えます。そのためトヨタ、スズキ、ダイハツの順になりました。

 ただし軽自動車の売れ行きが国内販売ランキングに大きな影響を与えるなら、国内販売の2位も、スズキではなくダイハツになるはずでしょう。最近の軽自動車販売ランキングは、出荷を停止するまで、ダイハツがトップでスズキは2位だったからです。

 妙な話に思えますが、スズキの国内販売台数がトヨタに次ぐ2位になった理由も、軽自動車の1位にこだわらず2位に甘んじたことにあります。

 スズキは、軽自動車で効率を悪化させるような無理な売り方をせず、その代わりに「スイフト」や「ソリオ」といった小型車の販売に力を入れたのです。

 そのため、近年のスズキでは、国内で販売される新車の20%近くを小型/普通車が占めています。

 ダイハツも小型/普通車の開発や製造を行いますが、主に親会社のトヨタに供給され、自社の販売比率は少ないです。

 その点でスズキには、ダイハツのような縛りがなく、売れ行きを増やせました。

 2024年1~6月に、スズキは1か月平均で、約1万1600台の小型/普通車を登録しており、この台数は、マツダ/スバル/三菱の小型/普通車登録台数を上まわります。

※ ※ ※

 スズキは、国内市場に合った軽自動車を主力にしながら、高機能で価格の求めやすいコンパクトカーにも力を入れて、トヨタに次ぐ売れ行きを達成しています。

 他社を見ると、ダイハツは前述のように、販売できるカテゴリーが軽自動車に偏っています。

 ホンダでは、2023年に国内で売られたホンダ車の40%近くがN-BOXで占められ、その売れ行きが最近のように下がると、同社の国内販売全体に悪影響を与えかねません。

 日産は以前に比べると設計の新しい車種が増えましたが、堅調に売られているのは、今でも「ノート/ノートオーラ」、「セレナ」、「ルークス」、「デイズ」くらいです。

 つまりスズキには堅調に売られる車種が多く、カテゴリーも適度に分散されています。国内販売のバランスが優れ、トヨタに次ぐ国内2位のメーカーになったというわけです。

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Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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