クルマの長ーいアンテナ、どこへ 小さく、短く進化 「コネクテッド」時代はどうなる?
「コネクテッド」時代は「埋め込み」に?
——現在はどのような方式が主流なのでしょうか?
AM/FMラジオ用としては、車体の形に応じて(太く短いタイプの)短縮ポールアンテナ、サメのひれのようなシャークフィンアンテナ(ドルフィンアンテナとも)、ガラスと一体化したガラスアンテナが採用されています。
——ラジオ以外ではどのようなアンテナがあるのでしょうか?
ポールアンテナやシャークフィンアンテナなどは主にラジオ用ですが、地デジや(主に海外で利用されている)衛星ラジオといった新しいメディア、さらにGPS、ETCなど、多くの種類のアンテナがクルマに搭載されています。そのため、個々のアンテナの小型化はもちろん、複数種のアンテナをまとめた複合アンテナや、ガラス上に多くのアンテナをまとめる技術が必要になっています。
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昨今はクルマそのものに通信機能を持たせる「コネクテッド」技術や、自動運転技術の開発も活発化しています。マツダはこれら技術の進展により、「クルマは周囲の交通状況をセンシング(感知)し、各種インフラやほかのクルマと通信し情報を交換しながら走行するようになります」といいます。また、それらの機能を確保するためにも「確実な通信が要求されます」と話します。
こうした時代を見据え、トヨタは2016年の「デトロイトオートショー」で、ルーフ部分に突起のない「車載用平面アンテナ」が埋め込まれた燃料電池車「MIRAI」の実験車を出展しています。このクルマは衛星と通信し、大量のデータをやりとりできるというものです。
トヨタによると、「現在の車載機の通信量ではカバーしきれなくなると予想されることから、大容量の衛星通信に着目した」とのこと。「車載用平面アンテナ」は、「米国の企業と共同で、パラボラアンテナのような構造物ではなく平面化、小型化し、車載に適したアンテナを試作したもの」だそうです。衛星通信には、国や地域を越えたカバーエリアの広さや、自然災害などの緊急時でも安定した通信を確保できるといったメリットもあるといいます。
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提供:乗りものニュース