【試乗】ダイハツ「ムーヴ」MC 新搭載「スマアシIII」ほか納得の「基本性能」とは(写真22枚)
絶妙なボディ剛性がもたらす恩恵とは
まずステアリングを握ったのは、ベーシックなNA(自然吸気)エンジン(52ps)を搭載した「X」(2WD)。JC08モードでは31.0km/Lという、新型ムーヴで最も低燃費なモデルです。
メッキフロントグリルを新調したことで、その表情が一段とすっきりした印象になった新型「ムーヴ」。走らせて最初に感じるのは、ダイハツ車ならではのクルマ全体から感じ取れるシッカリ感でした。
ボディ剛性はクルマを作る上では根幹といえる性能で、これが良いと乗り心地が良くなり、運転が楽しくなります。その一方で剛性を高め過ぎれば車重が増える傾向にありますが、ダイハツはこのバランスが非常に素晴らしいと筆者(山田弘樹:モータージャーナリスト)はいつも思います。
上位モデルにターボを控える性格からか「X」は、街中での軽快な乗り味が特徴的。14インチタイヤを履きこなすバネ下の動きは軽く、荒れた路面でも上限にこれをいなして快適な乗り心地を示してくれます。またソフトなサスペンションながら追従性がよく、ハンドルを大きく切るような路地でも応答遅れなしに向きを変え、ちょっとしたコーナーでもジワッと粘って、車体をしっかり支えてくれます。
このリッターカーにも負けない質感こそが、ボディ剛性の高さによって得られる恩恵だと思います。
またその動力性能も秀逸です。スペックだけを捕らえると過給器のない直列3気筒エンジンの非力さが気になるところですが、実際はその低中速トルクが転がり抵抗の少ないタイヤや駆動系のスムーズさと上手に連携して、街中はとても快適です。
ダッシュが必要とされる高速道本線への合流場面などでも、アクセルを強めに踏み込めば、高速巡航領域まですぐに到達できます。その際感心するのは3気筒エンジンのサウンドがきれいにそろっていることと、その上で新型「ムーヴ」の遮音性が高いこと。これが「ムーヴ」の質感を、さらに上げることに貢献しています。
リッターカー以上の低燃費車で常にフィーリングが話題となるCVT(無段変速機)も、660ccという小排気量エンジンには特性が合っています。そもそもが高回転型のエンジンを一番効率のよい回転域で走らせる制御によって、断続感のない加速が得られるからです。