マツダ、「15万台」で不正行為 過去販売車で「衝突試験車の加工」 現行車の「エンジン出力試験でソフト書き換え」 ほか4社でも発覚

マツダは、国土交通省からの型式指定申請における不正行為の有無に関する実態調査結果を発表しました。過去の3車種および現行2車種で虚偽記載があったといいます。

「過去の3車種および現行2車種」の試験で虚偽記載

 マツダは2024年6月3日、国土交通省からの型式指定申請における不正行為の有無に係る実態調査指示を受け、調査結果を同省に報告したと発表しました。
 
 報告では、過去に生産した3車種、現在生産している2車種において、不正事案があったとしています。

マツダ「ロードスターRF」
マツダ「ロードスターRF」

 国土交通省ではダイハツなどの認証不正問題があったことから、型式指定を取得している自動車メーカー85社に対し、その申請に係る不正行為の有無について調査・報告を指示しています。

 今回の発表によると、マツダでは2014年1月から2024年1月の全調査期間10年間で実施されたすべての型式指定申請2403試験のうち、計5試験で不正があったことを確認したと言います。

 不正行為のあった内容と対象車、生産時期、生産(販売)台数は以下のとおりです。

●前面衝突時の乗員保護に対する認証試験(以下、衝突試験)

・アテンザ 2014年11月~2018年4月 2万9547台(2万9505台)
・アクセラ 2016年8月~2019年2月 4万6067台(4万6046台)
・アテンザ/MAZDA6 2018年4月~2024年4月 2万2094台(2万1641台)

●ガソリンエンジンの原動機車載出力に対する認証試験(以下、エンジン出力試験)

・ロードスターRF 2018年6月~ 1万930台(1万760台)2024年3月末現在
・MAZDA2 2021年6月~ 4万2240台(4万1361台)2024年3月末現在

 この不正行為があった原因として、マツダでは以下のように分析しています。

・試験が認証法規に準拠した状態で実施されたかをチェックする仕組み、およびガバナンス体制の整備不足
・認証法規に準拠した試験を実施するための手順の不備
・認証法規に準拠した試験条件を安定的に満たす設備の整備不足

 また、再発防止策については以下を掲げています。

・認証法規に準拠した試験を適正に実施するための手順書の見直し・教育・実践の徹底
・試験が認証法規に準拠した状態で実施されたかをチェックする仕組み、およびガバナンス体制の再整備
・認証法規に準拠した試験条件を安定的に満たす設備の整備強化

 なお、該当車両やユーザーへの影響について、衝突試験に関する案件のほうでは、不正の把握後、社内にて技術検証および再試験を行い、前面衝突時の乗員保護性能について法規で定められた基準を満たす性能を有していることを確認したとし、今後速やかに法規適合性の確認などの適切な対応を国土交通省と相談しながら進めていくと発表しました。

 エンジン出力試験の不正に関しては、安全性に関連するものではないとして、当該車両を引き続き安全に乗れるとし、今後速やかに量産車と同じ状態で再試験を行い、改めて型式指定について当局の審査を受ける準備を進めていると明らかにしました。

 マツダは今回の不正行為について、以下のようにコメントしています。

「このたびの事案により、お客さまをはじめ、お取引先さま、販売会社などマツダに関係するすべてのステークホルダーの皆さまに多大なるご迷惑をおかけすることを、改めて深くお詫び申し上げます。

 マツダは、本事案を重要な問題と捉えており、このような事案が今後発生することのないよう経営の責任において再発防止に努めてまいります」

※ ※ ※

 なお、国土交通省によると、2024年5月末現在までに調査が終わっている68社のうち、マツダに加え本田技研工業、ヤマハ発動機、スズキの3社でも不正行為があったとしており、現在調査を行っている17社についても、うちトヨタ自動車1社においてすでに不正行為が発覚しています。

 これら不正行為があった5社に対しては、当該の車種の出荷停止および最終的な調査結果の速やかな提出、ユーザー等への丁寧な説明や対応に努めることが指示されています。

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