三菱「次期型デリカ」!? 超ビッグ&タフな「SUVミニバン」! “絶対安全大空間”備える「D:X」は何を指し示すのか
D:Xは次期型デリカD:5ではない?
クロスオーバーMPVとして重要な骨太ボディを実現させるために、モノコックボディの上部には、デリカD:5にも用いられる環状骨格構造リブボーンクレームを強化して採用。
これにより開放感と乗降性を高めるBピラーレス構造を備えつつ、高いボディ剛性を実現させています。
パワートレインは、電動化ユニットとなりますが、システムはエンジン付きであるPHEVとなります。
これは三菱自動車の電動化車は、スモールからコンパクトサイズはBEV、ミッドからラージサイズはPHEVという考え方に基づいたもの。
つまりロングドライブなど幅広いシーンでの活躍が想定されるデリカのような車種には、環境に配慮しつつも、充電を気にせずに走れる電動車の方がベターという提案なのです。
現在のラインアップでも、軽の「ekクロス」にはEVを用意していますが、「アウトランダー」に代表されるSUVには、日常走行は電気で行えるPHEVを積極的に展開しています。
電動4WDとなる駆動システムにも、三菱自動車らしい拘りがあります。D:Xには、先行開発中のフロント1基、リヤ2基のモーターを搭載したトリプルモーターの4WDシステムが提案されています。
このシステムは、2017年の東京モーターショーで発表されたコンセプトカー「e-EVOLUTION CONCEPT」にも搭載されていたもので、旋回性能を高める「AYC」と車両運動統合制御システムの「S-AWC」を備えることで、高い運動性能を実現しています。
前後独立式の2モーター4WDとS-AWCの実力は、既にアウトランダーPHEVでも発揮されていますが、後輪左右独立式の2モーターとAYCが組み合わされると、より緻密な駆動制御が実現するだけに、その走りにも期待が高まります。
三菱自動車によれば、D:Xコンセプトは、デリカD:5の後続車ではなく、飽くまで未来のデリカをイメージしたコンセプトカーだと説明しています。将来的な登場が期待される次期型デリカD:5との関連性は否定しています。
ただデリカD:5は、2019年2月に、デザインやパワートレインに大幅改良を行ったビッグマイナーチェンジモデルを投入していますが、今年で発売より17年目となる三菱自動車の乗用車の中では、最もロングセラーとなっています。ファンとしては、そろそろ続報が聞きたいのも本音でしょう。
D:Xコンセプトの提案は、そんなファンの気持ちを汲んだ三菱自動車からの「デリカには未来がある」というメッセージだったのでしょう。
Writer: 大音安弘(自動車ライター)
1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。
現行は室内空間が狭いので、デリカらしい室内空間とSUVを合わせ欲しい。