ホンダの上級セダン「インスパイア」復活!? 全長5m級&縦型グリルで迫力スゴイ! アコードと違う印象は? 中国で試乗

ホンダ「インスパイア」は日本において初代から5代目までの約20年間販売されていました。2012年の終了後には中国で2018年に復活を果たしています。

ホンダ「インスパイア」復活してた! どんなクルマ?

 かつて日本では2012年まで販売されていたホンダ「インスパイア」。
 
 中国では最新モデルも販売されています。その試乗した印象はどのようなものなのでしょうか。

ホンダが中国で生産・販売するPHEVセダン「インスパイア e:PHEV」に試乗(撮影:加藤博人)
ホンダが中国で生産・販売するPHEVセダン「インスパイア e:PHEV」に試乗(撮影:加藤博人)

 インスパイアは1989年、フラッグシップセダン「レジェンド」とアッパーミドルセダン「アコード」の間を埋めるモデル「アコードインスパイア」として登場しました。

 2003年に登場した4代目モデルからは北米向けアコードをベースにするようになり、日本向けアコードよりも余裕のあるエンジンと車体設計を特徴としています。

 レジェンドとあわせてホンダにおける二大フラッグシップ的な立ち位置を担うことになりましたが、2012年9月には販売終了となりました。

 一方、インスパイアの名前は中国市場では健在です。

 2018年に中国で初登場を飾ったインスパイアはアコードに対する姉妹車としてその車名が復活。

 ホンダの現地合弁会社「東風ホンダ」が製造・販売を担当しています。

 ホンダは中国で東風汽車との「東風ホンダ」、そして広州汽車との「広汽ホンダ」の2つの合弁会社を持っており、ひとつのモデルに違うデザインと車名を与え、それぞれから姉妹車として展開する販売戦略をとっています。

 アコードも例に漏れず、広汽ホンダでは「アコード」であるのに対し、東風ホンダでは「インスパイア」となる形です。

 2022年11月にアコードは11代目へと移行しましたが、それにともなってインスパイアもフルモデルチェンジ、「7代目インスパイア」が2023年5月に発売されました。

 ボディサイズは全長4979mm×全幅1862mm×全高1449mm、ホイールベースが2830mmとなり、日本で販売されているアコードとほぼ同一となります。

 エクステリアの全体的な印象はアコードと同じですが、一方でフロントマスクやテールの造形はインスパイア独自です。

 アコードではフロントグリルの角がシャープ、天辺がヘッドライトの延長線上にあるのに対し、インスパイアではグリルの縁を分厚く、また角を丸く仕立て上げています。

 グリルの模様が縦型なのに加え、バンパーのエラに当たる部分にはインテークも設けられていることから、アコードよりもスポーティな印象を受けます。

 テールライトはアコードが左右一体型なのに対し、インスパイアではオーソドックスな独立型となっています。

 他にもリフレクターやディフューザーの形状が異なっている形です。

 内装は他の仕向地と同様の設計となり、ダッシュボードのセンターには12.3インチのディスプレイが鎮座します。

 同クラスのライバルであるトヨタ「カムリ」の中国向けモデルは他市場モデルと大きく内装設計を変えており、例えばエアコンの操作は木目調のタッチパネルとなっています。

 このこともあり、インスパイアが他市場モデルと同一の内装を持つのには少し驚きました。

 それでも、今世代のホンダの内装設計はそもそも優れており、ボタン類の押し心地からタッチパネルの応答速度まで、不満は一切感じられません。

 上位グレードのスピーカーには日本のアコードと同じくBOSE製12スピーカーシステムを搭載、極上の音響空間を演出してくれます。

 インスパイアは5人乗りのミドルセダンなため、後部座席の空間も重要となります。

 身長187 cmの筆者が実際に座ってみても窮屈さは感じられず、楽な姿勢で長距離も移動できると感じました。

 一方、リアトランクは容量17.7 kWhのバッテリーを搭載する関係で、積載量が少なからず圧迫されています。床面もフルフラットにはなっていないため、荷物の搭載には注意が必要と感じました。

 パワートレインは純ガソリンかプラグインハイブリッド(PHEV)の「e:PHEV」モデルのみとなり、日本や北米などで販売されているハイブリッド(HEV)の「e:HEV」は展開されていません。

 純ガソリンモデルはL15C型1.5リッター直列4気筒VTECターボエンジンを搭載し、最高出力189 hp/最大トルク260 Nmを誇ります。

 中国では「260 TURBO」というグレード名が付与されていますが、その数字はトルクの数値に由来します。

 一方のe:PHEVモデルはLFB型2.0リッター直列4気筒i-VTECエンジンを搭載。

 エンジン自体は最高出力146 hp/最大トルク182 Nmですが、これにフロントに配置された最高出力181 hp/最大トルク335 Nmの駆動用モーターと組み合わせています。

 バッテリーは「CATL(寧徳時代)」が製造する容量17.7 kWhの三元系リチウムイオン電池を搭載、WLTC方式での純電動航続距離は82 kmとなります。

 ガソリンエンジンと総合した数値は公表されていませんが、同じパワートレインを搭載する「CR-V」の姉妹車「ブリーズ」のe:PHEVモデルが1060 kmと案内されているため、インスパイアでも同等と言えるでしょう。

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