日産の「S13型シルビア」なぜ人気? デートカー&走り屋御用達… “ヤングタイマー”なクルマの魅力とは

バブル景気真っ只中にある1988年5月に発売された日産「シルビア(S13型)」。デートカーとしての人気に加えて、現在では走り屋御用達のモデルでもあります。その魅力とはどのようなものなのでしょうか。

デートカーから走り屋御用達に…いまも魅力的なシルビア(S13型)

 日産が誇る懐かしのスペシャルティクーペ「シルビア(S13型)」。
 
 デートカーとしての人気に加えて、現在では走り屋御用達のモデルでもあります。
 
 その魅力は、どこにあるのでしょうか。

「S13型シルビア」なぜ人気? “ヤングタイマー”なクルマの魅力とは
「S13型シルビア」なぜ人気? “ヤングタイマー”なクルマの魅力とは

 日産は、千葉県千葉市の幕張メッセで開催された国内外のヘリテージカーが集結した展示イベント「オートモビルカウンシル2024」に、シルビア(S13型)を展示しました。

 同イベントの日産自動車のブースでは、「LOVE GOES ON ‐Nissan Loves Every Customer‐」をテーマに掲げ、クルマの愉しさを伝えるべく、愛され続ける懐かしの日産車を展示しました。

 今回展示されたのは、2023年秋に実施した人気の往年の日産車たちの総選挙「日産ヘリテージカー総選挙」で選出されたものです

 その中から、今20代・30代からも注目を浴びている1980~1990年代の “ヤングタイマー車”のスポーティセダン「プリメーラ(初代P10型)」、オープンスタイルのパイクカー「フィガロ」を含む3台を展示。

 今回は、その中でも特に幅広い層に人気のあるS13型シルビアを紹介しましょう。

「S13(エスイチサン)」の愛称でも親しまれる5代目シルビアは、バブル景気真っ只中にある1988年5月に発売されました。

 今となっては、走り屋グルマのイメージが強いですが、当時、デートカーとして絶大な人気を誇ったホンダ プレリュードをライバルに見定めて、開発された最先端のスペシャルティクーペに仕上げられました。

 そのキャッチコピーは、「ART FORCE SILVIA(アートフォースシルビア)」とし、特にデザイン性の高さを謳ったものでした。

 エクステリアは、従来の走りを重視したクーペという色を抑えつつ、スタイリッシュな内外装デザインを採用。

 フォルム自体は、オードソックスなノッチバッククーペでしたが、フェンダーのタイヤハウスにあるフレアを無くすなど、余計なラインを徹底的に排除することで、雑味のない美しさを実現していました。

 そのスタイリングが好評だったことは、エンジンを載せ替えるなどの大幅改良があったマイナーチェンジでも、エクステリアデザインの改良は小変更に留められていたという事実が物語っています。

 インテリアは、その人気のエクステリアデザインよりも、より力を入れて開発されたといわれています。

 デートカーである以上、2人のムードを盛り上げるセンスの良さを追求されたのです。

 スポーツカーらしいコクピットデザインでありながら、運転席と助手席との一体感を演出すべく、新たな試みとして、継ぎ目のない大型のダッシュボードを採用。

 スイッチ類のデザインや配置にも配慮するなど、徹底した美が追求されています。

 シート自体は、マイナーチェンジで変更されていますが、コンセプトカーのシートのような美しいフォルムのヘッドレスト一体型フロントシートが与えられ、それは未来感を象徴するものでもありました。

 お洒落であることが最重視されたS13型シルビアですが、本当に単なる軟派なスペシャルティクーペになってしまったのでしょうか。

 その答えは、否となります。走りの良さに定評があった日産車だけに、その点も抜かりはありませんでした。

 当時の日産では、「901活動」と称される取り組みが行われ、「1990年までに技術で世界一になる」という志の高い目標が掲げられていました。

 その開発車両の中には、S13型シルビアも含まれ、新技術が採用されています。

 その拘りがもっとも発揮されたのが、操縦安定性でした。

 フロントエンジンの後輪駆動車という特徴を最大活かすべく、リアサスペンションには、新開発のマルチリンクサスペンションを採用し、走りの質が高められていました。

 日産ヘリテージコレクションの収蔵車である展示車は、デビュー年となる1988年製の前期型モデルの「Q’s(キューズ)」のAT車です。

 S13型シルビアが、パワフルなターボエンジンを搭載した「K‘s(ケーズ)」を頂点に、自然吸気エンジンを搭載する充実装備の中間グレード「Q’s」とエントリーグレード「J‘s(ジェーズ)」の3タイプを用意。

 その名称は、トランプのジャック、クイーン、キングに由来するものでした。

 最も販売台数が多かったのが、この「Q’s」で、イメージカラーである「ライムグリーンツートン」のボディカラーを纏い、オプション装備であった15インチアルミホイールが装着されています。

 基本装備が充実されていた「Q’s」ですが、発売当時は、まだエアコンもオプション。

 今では信じられませんが、それだけエアコンが贅沢かつ高価なアイテムだったのです。

 展示車は、エアロもなく、プレーンなスタイルで、走り屋グルマのシルビアというイメージは薄め。

 しかし、ほぼ同じと思われる仕様と思われるものが、当時のカタログのメインを飾っていたことも、そのデザイン性の高さとデートカーとして魅力がアピールされていたことを感じさせます。

 S13型シルビアでは、世界観の統一を狙い、グレードによるビジュアル上の差別化は少なめ。

 エントリーで、多くがモータースポーツベース車となったと思われる「J‘s」は、販売数が極めて少なく、一般ユーザーの多くは「K’s」か「Q’s」の2択でした。

 ただ外観上の違いは、エンブレムとフロントバンパー左側のエアダクト有無のみ。

 その理由は、ターボ車のK‘sの場合、バンパーの裏側にインタークーラーが装備されていて、空気を取り入れる必要があったためです。

 このため、展示車のQ’sにも、ダクトはありません。ただしオプションのエアロフォルムバンパーを装備していると、両サイドにダクトが標準装備となるので、見た目の差はなくなりました。

 今も基本を共有する姉妹車のハッチバッククーペ「180SX」と共に根強い人気を誇るS13型シルビアですが、その数は激減しており、街中で見かける機会も少なくなりました。

 しかし、そのシンプルなのに美しいデザインを見ると、現代車も見習うべき点が多くあるのではと思ってしまうのは、私だけではないでしょうか。

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Writer: 大音安弘(自動車ライター)

1980年生まれ。埼玉県出身。クルマ好きが高じて、エンジニアから自動車雑誌編集者へ。その後、フリーランスになり、現在は自動車雑誌やウェブを中心に活動中。主な活動媒体に『ナビカーズ』『オートカーデジタル』『オープナーズ』『日経トレンディネット』など。歴代の愛車は全てMT車という大のMT好き。

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