トヨタが「新型ランドクルーザー250」を発売! なぜ「プラド」ではなくなった? 30年以上使い続けた“名称”を変えた理由とは

トヨタの新型「ランドクルーザー250」は従来の「ランドクルーザープラド」に代わるモデルですが、名称が「250」へと変化したのはなぜなのでしょうか。その理由を探ってみます。

なぜ「プラド」ではなく「250」に?

 トヨタは「ランドクルーザー250」(以下250)を2024年4月18日に発売しました。
 
 新型ランクル250は実質的な「ランドクルーザープラド」(以下プラド)の後継車ではありますが、サブネームが「プラド」から「250」へと変わったことに引っかかる人もいることでしょう。果たしてその理由はどこにあるのでしょうか。

なぜ「プラド」ではない? 「250」名称になった理由とは
なぜ「プラド」ではない? 「250」名称になった理由とは

 理由のひとつが、今回のフルモデルチェンジで“キャラ変”、つまりキャラクターをチェンジしたことです。

 そのヒントとなるキーワードは「原点回帰」です。

 今回は原点回帰を軸に、ランドクルーザー250が“プラド”から名前を変更した意図を探ってみます。

 まずは、ランドクルーザーシリーズについておさらいしてみます。

 伝統的なランドクルーザースタイルを継承するモデルとして展開しているのが「ランドクルーザー70」。1980年代から継続して生産されており、シンプルかつ丈夫で、ワークホースのように人々の生活を支える存在です。

 その対極にあるのが「ランドクルーザー300」。フラッグシップとして快適性を高め、豪華なSUVとして存在感を高めています。

 その両者の中間のポジションとなるのがプラドであり250となるわけですが、振り返ってみると従来の“プラド”はどのようなイメージだったでしょうか。

「車体とエンジンは300(やその従来型である“200”)よりも一回り小さく、価格も控えめ。だけど高級感を狙って背伸びをしている。まるで300や200の弟分のような存在感」―――

 実際、そう感じていた人も多かったのではないでしょうか。

 もちろん「そんなプラドがちょうどいい」と感じていたユーザーが多いのも事実です。しかし、俯瞰してシリーズ全体をみたときに、ランドクルーザーの一員としての明確なキャラクターというか独自性が薄かったような気はしませんか。

 そこでトヨタはフルモデルチェンジを機に、「プラド改め250」と立ち位置を仕切りなおすことにしました。それが2023年8月のランドクルーザー250ワールドプレミアイベントでキーワードとなった「原点回帰」というわけです。

 250は、実質的にプラドのフルモデルチェンジ版ですが、見た目からして印象はガラリと違います。

 背伸び気味に上級感を演出していたプラドとは異なり、250は見るからに質実剛健。磨き上げて見せびらかすクルマではなく、余計な飾り気のないシンプルで実用的な道具のように感じられることでしょう。

 インテリアも同様に、煌めく加飾で上質感を高めるのではなく、シンプルで使い勝手のいい道具感を思わせるデザインと仕立てにまとめられました。

 それは、過酷な路面など極限の状況での操作性を優先したものであることは言うまでもありません。しかし、上質な素材を組み合わせることでシンプルだけどチープではないところは巧みです。

 250のデザインは内外装ともに「機能美こそ、究極の美」としています。

 シンプルなダッシュボードの意味は操作性のためだし、複数に分割されたフロントバンパーは破損した部分だけを交換できるように考えられたもの。

 ステーションワゴンモデルの200や300に設定されていたベーシックモデルとは違い、悪路を走るための移動手段として質実剛健を追求したのがランドクルーザー250なのです。

 その“キャラ変”をより理解してもらうために、フルモデルチェンジを機にプラドから250へとサブネームを変更したと考えるのが正解なのです。

 ちなみに、中東をはじめいくつかの地域では新型も「ランドクルーザー250」ではなく「ランドクルーザープラド」の名前を継承します。

 そういった地域で車名を変えない理由は「プラド」としてのブランドがしっかり確立されているからと考えればいいでしょう。

 プラドから250へ。それは中間レンジとなるランドクルーザーの「原点回帰」を伴うイメージチェンジであり、「リブランド」なのです。

【画像】超カッコイイ! これが「新型ランドクルーザー」です! 画像で見る(30枚以上)

意外と多い救急車のヒヤリハット! その原因とは?

画像ギャラリー

Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

【NEW】自動車カタログでスペック情報を見る!

新車不足で人気沸騰! 欲しい車を中古車でさがす

最新記事

コメント

本コメント欄は、記事に対して個々人の意見や考えを述べたり、ユーザー同士での健全な意見交換を目的としております。マナーや法令・プライバシーに配慮をしコメントするようにお願いいたします。 なお、不適切な内容や表現であると判断した投稿は削除する場合がございます。

メーカーからクルマをさがす

国産自動車メーカー

輸入自動車メーカー