いすゞ「高級SUV」がスゴい! 同じ車に「9コ」の名前がある!? 便利すぎて「OEM供給」されまくった「車名多すぎモデル」とは
海外メーカーのブランドも名乗った?
続いてビッグホーンを自社製品に組み込んだのは、ホンダでした。
実はホンダも、折からのRVブームに対する持ち駒がなく、1993年には、ローバー・グループのランドローバーから「ディスカバリー」のOEM車「クロスロード」を発売。
そのほか、いすゞが1990年に発売した3ドアのスポーティなRV「ミュー」も、ホンダ「ジャズ」として1993年から販売していました。
続く1994年には、2代目ビッグホーンがホライズンと名付けられ、ホンダバッジが貼られることに。
こちらも、スバル版と同様にハンドリング・バイ・ロータス版のみが用意されました。いっぽう、アメリカのアキュラブランドでは、ホライズンをSLXと称して販売していました。
しかし販売期間は長くなく、クロスロードは1997年、ジャズは1996年、そしてホライズンとSLXは1999年でカタログから姿を消しています。
正直なところ、これらOEM車の販売台数は多くはありませんでしたが、扱うことで得たRV車のノウハウは、「ステップワゴン」「CR-V」「オデッセイ」など、一連の「クリエイティブ・ムーバー」を生み出す原動力や契機になったと考えることもできます。
余談になりますが、かつてホンダはジープ「チェロキー」も取り扱っていました。しかも右ハンドル・低価格でヒット作となっています。これも、意外な事実といえます。
そして実は、ビッグホーンが別ブランドで売られた事例は、国内にとどまらなかったのでした。
当時のいすゞはGMグループに属していたため、初代・2代目ともにクロカンを持たないグループ内ブランドで販売されたのです。
ドイツのオペル/イギリスのボクスホール(イギリスでは、オペルをボクスホールとして販売)「モントレー」も、クロカンを持たなかったオペル/ボクスホールのラインナップを補完するモデルでした。
そのほかインドネシアや南米ではシボレー「トゥルーパー」、豪州向けのホールデンでは「ジャッカル/モントレー」、韓国や東南アジアではサンヨン(双龍)「コランド・ファミリー」(初代ビッグホーンのみ)などと名付けられました。
つまりビッグホーンも、いすゞの乗用車「ジェミニ」「アスカ」のように、世界中のGMグループを支えるワールドワイド・モデルだったことがわかります。
なおOEMとは異なりますが、いすゞ自体もビッグホーンの車名を仕向け地により変えており、例えば北米市場では「トゥルーパー」として売られていたことも記しておきます。
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時代の流れに応じて生まれたものの、逆にその流れのために消えてしまったクルマは少なくありません。
RVブームやGMグループ各社のラインナップ強化のために誕生したビッグホーンの別名車も、まさにそんなクルマだったのではないでしょうか。
Writer: 遠藤イヅル
1971年生まれ。自動車・鉄道系イラストレーター・ライター。雑誌、WEB媒体でイラストや記事の連載を多く持ち、コピックマーカーで描くアナログイラスト、実用車や商用車・中古車、知られざるクルマの記事を得意とする。
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