トヨタの「ハイブリッド」何がスゴイ? 他メーカーがマネしない「THS」とは

1997年に登場した初代「プリウス」から普及していった“ハイブリッド”。各メーカー様々な方式のモデルを投入していますが、その先駆者とも言える“トヨタ”のハイブリッドはどのような点が“優れている”のでしょうか。解説します。

27年かけて磨き上げた洗練の走り

 トヨタのハイブリッドシステムの基本は「THS」と呼ぶ方式です。THSとは「トヨタ・ハイブリッド・システム」の略で、1997年に発売された世界初の本格ハイブリッドカーの初代「プリウス」に搭載されて登場します。

 THSは、2003年に第2世代となる「THS II」に進化。その後、THS IIはリダクションギヤを追加するなど進化を続け、現在の最新の5代目「プリウス」には、第5世代のTHSが搭載されています。

27年の進化を遂げたハイブリッド…画像はトヨタ現行「プリウス」
27年の進化を遂げたハイブリッド…画像はトヨタ現行「プリウス」

 つまり、トヨタは1997年に誕生させた最初のハイブリッド車から、27年後の現在まで、THSというシステムを使い続け、磨き上げてきているのです。

 まず、その持続性と、その年月が実現させる技術の洗練がTHSならではの凄みと言っていいでしょう。

 そして、トヨタが2023年までに生産してきたハイブリッド車の累計販売台数は342万台を突破しています。その大多数にTHSが搭載されてきたのです。この実績もTHSの大きな凄みとなります。

 そんなTHSの技術的な特徴は、動力分割機構を採用していることです。具体的にはプラネタリーギヤを使っています。

 プラネタリーギヤとは日本語で遊星ギヤと呼びます。中央にサンギヤがあり、その周りにピニオンギヤ、そして外周をリングギヤが囲みます。

 中央に太陽があって、その周りに星が回るように見えるのが、遊星ギヤと言う名前の由来となります。

 そしてTHSでは、サンギヤに発電機、ピニオンギヤにつながるプラネタリーキャリアにエンジン、リングギヤに駆動用モーター/出力軸がつながっています。

 発電機とエンジン、駆動用モーターの3つが、ひとつの動力分割機構(プラネタリーギヤ)につながっているのです。

 そして、走行状況にあわせて、エンジンのみでの走行、モーターのみでの走行、エンジンとモーターの両方での走行、エンジンで走行しながら発電、減速の勢いで発電、という様々な走行モードを自在に切り替えることが可能となります。

 この、「さまざまなモードを自在に切り替えることができる」のがTHSの大きなメリットです。

 実のところ、エンジンやモーターには、それぞれ得意な領域と苦手な領域があります。エンジンは低回転の走りだしが苦手ですし、モーターは高回転域が苦手です。

 苦手なところで走るのは効率が悪い=燃費が悪くなります。逆に常に得意な領域で働かせることで、「THS」は、優れた燃費性能を実現しているのです。

 実際に、初代プリウスの燃費は28km/L(10・15モード)でしたが、2003年の2代目プリウスは一気に世界最高レベルの35.5km/L(10・15モード)に到達。

 2009年の3代目でも世界トップの38.0km/L(JC08モード)を実現しています。

 最新の5世代「プリウス」は、燃費よりも走行フィーリングを重視するようになりましたが、それでも28.6km/L(WLTCモード)という優れた燃費性能を維持しています。ライバルと比較しても、いまだにTHSの燃費性能は抜きんでているのです。

 また、THSは、ひとつの機構にエンジンなどが常時つながっています。そのため動力配分が変化したときにギクシャクすることはありません。変速もしませんから、非常にスムーズな加速が可能です。この変速感のないスムーズさもTHSの特徴です。

 ただし、THSにも苦手な部分があります。それが走行フィーリングです。

 THSは、エンジンと発電機、駆動用モーターの3つを常に最も効率のよい状態で働かせることができますが、そこには「ドライバーの気持ちよさ」は抜け落ちていました。

 THSは「走行速度やアクセル操作とは関係なしにエンジン回転数が変化する」「エンジン音や振動の変化に加速がリンクしない」などという現象が発生します。

 そもそも変速しませんから、多段式のステップATのような固定された各ギヤで加速してゆくというフィーリングとも異なります。

 これに対して、エンジン音や振動を耳に走ることに慣れていた人は違和感を得たことでしょう。そのため初期のハイブリッドは、クルマ好きから「フィーリングが悪い」という、さんざんな悪評を突き付けられました。

 ところが実際の燃費性能に関して言えば、THSを搭載したプリウスは他を圧倒しています。そのため燃費重視という世相になるとプリウスは大ヒット車になりました。

 一部にひどく言われながらも、燃費という信念を貫き通してきたのがプリウスであり、THSの歴史だったのです。

 そして2010年代に入って、トヨタが「もっといいクルマづくり」を掲げるようになり、それに伴ってプリウスとTHSの走行フィーリングは急激に改善していきます。

 燃費追及に振り切るのではなく、その一部を走行フィーリングに振り分けたのです。その結果、最新のプリウスの走行フィーリングは、非常に気持ちの良いものとなっています。

 優れた燃費性能を達成しつつ、苦手なフィーリグの悪さを克服した。これぞ、まさに技術の洗練です。この燃費と走りの良さを両立させたというのが、トヨタ“THS” の最大の凄みではないでしょうか。

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8件のコメント

  1. 何だこの提灯。燃費しかよくないTHSだけれど、実のところフィーリングなんて大多数は気にしない。

    • そうですね。ホンダのハイブリッドなんてエンジンフィーリング捨ててますから。

  2. トルコンATがcvtになった程度の違いでしょ
    ths2からもう20年、今更ヨイショするようなテクノロジーでは無いでしょうよ。
    音はうるさいがepowerのほうが斬新だと思う。

    • e-POWERの技術は50年以上前の電気式ディーゼル機関車の技術ですよ。今更ヨイショするテクノロジーではないでしょう。

  3. うーん。
    筆者はTHSの機構について理解が足りてないですね…。THSはエンジンのみでは走行できないし、高速域ではMG1の発電抵抗を使って変速するんです。変速感がないのは電気式無段階変速だからです。
    パワーフローモニターは演出であって真実ではないです。

  4. カタログ燃費は世界一だと思う。
    実測値は悪い。
    トヨタ車は、カタログ値と実測値があまりにも違う。
    キャノンもそうだしなぁ~。

    • それはホンダさんにも言ってください。

  5. >>他メーカーがマネしない「THS」とは

    だからそもそもが違うって。
    特許の塊だからマネできない、んだよ。

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