ミツビシ新型「“小さな”SUVミニバン」実車公開! 初のハイブリッド&タフ顔採用! スライドドアレスなタイの「エクスパンダー」日本導入は?
三菱のタイ法人は、2024年3月26日から4月7日まで開催される第45回「バンコク国際モーターショー」で新型「エクスパンダー/エクスパンダークロス」を展示しました。どのようなモデルなのでしょうか。
三菱の“小さなSUVミニバン“「エクスパンダー」とは
突然ですが、三菱「エクスパンダー」をご存じでしょうか。知らなくても無理はありません。日本では販売していないモデルですから。
しかしこのエクスパンダーは三菱にとって重要なモデル。2022年度のグローバルにおけるエクスパンダーシリーズの販売は、なんと三菱車の中で第三位(販売台数は13万台以上)。「トライトン」「アウトランダー」に続く販売を誇る、世界戦略車なのです。
パッケージングは全長4.6m×全幅1.75mと比較的コンパクトな3列シートミニバン。後席ドアはスライドではなくスイング式で、かつての「シャリオ」や「シャリオグランディス」のような箱型ではない、比較的背の低いミニバンをイメージすればいいでしょう。
ただ、最低地上高が220mm(スズキ「ジムニー」で205mm)と本格的なSUV並なのに加えて、見た目はSUVっぽさも感じるタフなデザインとなっています。
スライドドアではないこととSUVっぽい雰囲気が日本の一般的なミニバンとの違いといっていいでしょう。ただ、この手のクルマはトヨタ「ヴェロス」などライバルも多く東南アジアでは人気のあるジャンルなのです。
また、エクスパンダーは軽自動車の「eKスペース」に対する「デリカミニ」のように、スタイリングに力強い雰囲気を強調した「エクスパンダークロス」もラインナップしています。
そんなエクスパンダーにハイブリッドが追加されました。トピックはなんといっても、三菱自動車初の(プラグインではないストロングタイプの)ハイブリッドカーだということ。
これまで三菱には「アウトランダーPHEV」や「エクリプスクロスPHEV」のようなプラグインハイブリッドや、デリカミニのようなマイルドハイブリッド搭載車はありました。
しかし、意外なことに力強いモーターを備えつつプラグインではないハイブリッドははじめてなのです。PHEV一本足打法から少し戦略を変えたのでしょうか。
気になるメカニズムはアウトランダーPHEVやエクリプスクロスPHEVと同じ考え。つまり、世の中的にも珍しい「プラグインハイブリッドから派生したハイブリッド」といえます。
アウトランダーやエクリプスクロスのPHEVと異なるのはバッテリーサイズが小さくなることと、エンジンが1.6リッターとコンパクトになっていること(PHEV用は2.4リッター)。
いっぽうでシステムの基本動作はPHEVと同様で、発進から日常域にかけてはモーター駆動が中心。高速領域になるとエンジンの動力を駆動力としつつモーターがアシストも行うモードに切り替わります。
そんなハイブリッドシステムの動きは(メカニズムは異なるものの)根本的にはホンダのハイブリッド「e:HEV」と同じ考え方で、いっぽうで日産「e-POWER」との大きな違いは高速領域のエンジン直結モードがあること。エンジン直結モードにより、モーターが苦手とする高速領域での燃費を向上することができます。
ちなみにエンジンは出力95ps/最大トルク134Nmで、モーターは出力116ps/255Nm。トルクはガソリン自然吸気エンジンでいえば排気量2.5リッター並みですから、発進加速などでも相当力が増していることは容易に推測できます。ガソリン車(1.5リッター自然吸気エンジンで105ps/141Nm)に対して加速性能も大幅アップです。
気になる燃費は、三菱によると「ガソリンエンジンCVTモデルと比べてNEDCモードで市街地走行の燃費は約34%、市街地走行と高速走行を組み合わせた燃費は約15%の低燃費化を実現」とのこと。
エクスパンダーに搭載されたそんな三菱初のハイブリッドはこの先、三菱の市販車に横展開されていることは間違いないでしょう。
たとえば「エクリプスクロス」のようなコンパクトサイズのSUVに搭載してもいいですし、2.4リッターエンジンと組み合わせて次期型「デリカD:5」に搭載なんていう可能性だって考えられます。今後の横展開が楽しみですね。
今回、筆者はバンコク国際モーターショーの会場でこの新型エクスパンダー ハイブリッドの実車を見ることができました。
2022年のマイナーチェンジ以降のモデルはガソリン車でもスタイルが端正になり魅力が増しているのですが、予想外だったのはインテリア。
まず、ガソリン車だとアナログのメーターは8インチの全面液晶化。シフトセレクターはガソリン車の一般的なレバー式から電子式となり、パーキングブレーキも電動化。
また「ノーマル」「ターマック」「グラベル」「マッド」そして「ウェット」と5タイプの制御が選べるダイヤル式のドライブモードセレクターも追加されていたのです。
すなわち、ハイブリッドの追加にあたって、パワートレイン以外でも電子系が大きく変更されていることがわかります。
そんなエクスパンダーはスライドドアではないことから、現実的には日本に導入されても多くの販売を見込むことはできないかもしれません。しかし、選択肢の一つとして日本にもあればクルマ選びが楽しくなりそうな気はします。
問題は、先進安全装備と為替。仕向け地や基本設計の関係で、現時点ではプリクラッシュブレーキなどの先進安全機能は非搭載です。日本で売るのなら、そこは対応しないといけません。
また、いまは日本円に対してタイバーツが強いので、日本で売るとしたらガソリン車でも300万円オーバー。ハイブリッドは400万円近くになってしまうでしょう。
Writer: 工藤貴宏
1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。
スライドドアではないがsuvなら問題ないのでは?
後はコスパ次第❗️
こういった記事を見ると、何故、日本国内でもっと多様な車種を販売してくれないのか、残念に感じます。
どのメーカーも、日本の会社なのに国内ユーザーを大事にしないので、購買意欲が削がれます。