クルマの「全幅」どこまで拡大する? 将来「全幅1900mm」は当たり前に!? 日本の道路で「実用困難」になる限界は?

近年のクルマはモデルチェンジ時にボディサイズを大型化することが多く、全幅1800mm以上のモデルも珍しくありません。しかしこれについて、様々な面から弊害が考えられるといいます。

クルマの「全幅」が広がることの影響は?

 クルマの全幅について日本のクルマの分類は、5ナンバー車と呼ばれる小型自動車が“全幅1700mm以下”、3ナンバーの普通乗用車が“それ以上のサイズ”と分類されています。
 
 そして3ナンバー車には以前は全幅1800mm以下のモデルが多く販売されていましたが、近年はモデルチェンジ時のサイズアップが顕著になっており、1800mm以上のモデルが増加。それに伴う懸念も生じています。

1890mmという全幅を誇るマツダ「新型CX-60」
1890mmという全幅を誇るマツダ「新型CX-60」

 クルマの全幅が広がることでまず考えられる弊害が「実用性の低下」で、例えば運転しにくくなることが挙げられます。

 運転には“慣れ”もある程度は関係しますが、そもそもクルマの全幅が大きいとボディサイズを把握しにくく取り回しが大変になるだけでなく、死角も増えます。

 また、相対的に道路の左右幅が狭くなるのも大きなデメリットです。

 日本の一般的な2車線道路だと、1車線が3000mm(3.0m)から約3500mm(3.5m)。これは大型トラックの全幅サイズ(2500mm)でも通れるように設計されているためですが、それでもやはり全幅が広くなるとその分だけ左右の余裕がなくなり、運転がシビアになります。

 また生活道路となれば、さらに道幅は狭くなります。中には1台通るのがやっとという道もあるので、全幅が大きくなると満足に通れない道が増えるかもしれません。

 モデルチェンジの度に大型化しがちな現代のクルマでは、「先代モデルでは通れた道だけど新型モデルだと難しくなった」というケースも出てくるでしょう。

 さらに道路だけでなく、駐車設備も使用できなくなる可能性があります。

 例えばコインパーキングは、対応可能な全幅が「1900mm以下」に設定されている場所が多く、大型のSUVやミニバン、輸入車では利用できないという問題が起こっています。

 また、一般的な機械式駐車場も対応全幅が「1800mmから1900mm以下」のため、利用できるクルマが制限されます。

 設置年数が古い機械式駐車場の場合は、昔の小さなボディサイズのクルマに合わせて設計されているため、さらに対応全幅が小さい可能性もあるでしょう。

 実際に、筆者(大西トタン)が利用している機械式駐車場は全幅1800mmまでのクルマしか駐車できず、買い替えの際、SUVの購入を検討していたものの駐車できないために仕方なくコンパクトカーにした、という苦い経験があります。同じような経験をした人もいるかもしれません。

 クルマの全幅を広げることは、車体の安定性や安全性、居住性を高めることに繋がりますが、その一方で運転しにくくなったり、駐車場など社会インフラの利用が難しくなったりと、デメリットも生じるのです。

 道路幅の広い海外ならいざ知らず、日本で発売するモデルの場合は単純に全幅を広げれば良いというものでは無く、実用性も考慮してモデルチェンジする必要があるのではないでしょうか。

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