「なんちゃってSUV」なぜ増加? 地上高低めの“SUV風“に需要アリ! 悪路走破性なしのSUVが支持されるワケ
SUV風のモデルが最低地上高を高くしない理由は?
悪路走破力を高めるための余裕のある最低地上高は、SUVのカッコ良さにも影響を与えます。
例えばクロストレックは5ドアハッチバックのインプレッサをベースに開発されたSUVですが、最低地上高を200mmまで拡大したので、外観も存在感が強まってカッコ良くなりました。
その一方でフリードクロスターは、最低地上高がほかのグレードと共通で、2WDは135mm、4WDは150mmです。外観のSUVらしさが控え目で「なんちゃってSUV」に含まれると言えます。
最低地上高を少なくとも180mmくらいまでは高めないと、SUVらしさが希薄で「なんちゃってSUV」と呼ばれるわけです。
それならどうして、フリードクロスターなどは、最低地上高をもっと高くしないのでしょうか。せっかくSUV仕様を開発するのですから、最低地上高を高めて外観をカッコ良く仕上げ、悪路走破力も向上させれば良いでしょう。
この点について、フリードの開発者は次のようにいいます。
「最低地上高を高める作業は簡単ではありません。デコボコを乗り越えやすいとユーザーが本格的な悪路に入り込む可能性もあり、それに対応するため、ボディや足まわりも強化しなければなりません。
また最低地上高を高めると、横滑り防止装置や衝突被害軽減ブレーキなど、安全面を始めとするさまざまな装備のセッティングも変わります」。
要はSUVにアレンジするのが困難なため、外装パーツを加えるだけで、最低地上高などを変えない「なんちゃってSUV」も多いのです。
見方を変えればクロストレックが最低地上高を高められたのは、ベースの「インプレッサ」を含めて根本的に悪路走行へ対策が施されているからです。
そこに安全装備などの入念な開発も行ったことで、最低地上高に200mmの余裕があるクロストレックを開発できました。
そしてSUVは、多様性のあるカテゴリーです。既存の車種に外装パーツを加えただけの派生的なSUVから、ランドクルーザーのような本格的な悪路走破力を備えた車種まで何でもアリです。実は「なんちゃってSUV」が成り立つこと自体、SUVの立派な特徴といえるでしょう。
この多様性により、SUVはいろいろな車種をベースにして、都合良く魅力的にアレンジできます。どんな料理でも美味しくする調味料、トッピングのようなものです。
しかも今後は、電気自動車が増えます。床下に駆動用リチウムイオン電池を搭載するため、天井と床の高いSUVは、電気自動車とは特に親和性が高いです。
「なんちゃってSUV」も含めて、SUVは今後さらに発展して、クルマの世界を一層魅力的にしてくれるでしょう。
Writer: 渡辺陽一郎
1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。
SUVになんちゃってもクソもない。
ただのジャンル分けでしょ。
クラウンのSUVも、フォレスターも大差ない。同じだよ!クロスオーバーか、クロカンかそれだけ。
クロカンSUVとクロスオーバーSUVの違いを、こういう記事の存在があやふやにしてる。
マスコミ様のいい加減な説明で境界線があやふやになってしまっている現状で、そこを厳密にカテゴリ分けする意味あります?!
フィットクロスターのFFは、他のグレードよりも最低地上高は高めに設定されているね。
私がSUVに乗るのは、運転席が比較的高く運転中の見透視が良いので先の状況が把握でき、安全安心に繋がってると感じるからです。最近は軽のワゴン車など車高も運転席も高く、普通のセダンでは前の軽に視界を妨げられます。ともすると信号待ちでは隣の軽助手席から見下げられてましたよ。
余りSUVの解説では言われてないですが、私はこの視界の良さが無意識にでも好まれてるのではと思ってますがね。