“まるでカフェ”な次世代の「路線バス」もうすぐ登場? 超デカイ進化系「SRT」! 名古屋で進む“新たな移動手段”の狙いとは

すでに「テラス型バス停」でテスト

 名古屋市住宅都市局によると、SRTは「車両、走行空間、乗降・待合空間や運行サービスが相互に連携した新たな都市のシステムとして構想を策定」されました。前述したように、賑いの創出と回遊性の向上による都心部の活性を狙いとしています。

 そのためSRTはただの新路線にとどまらず、名古屋を訪れる人に新しい移動価値を提供し、また魅了する移動手段になることを目指しています。

 例えば採用予定の車両は、シンボル性の高いデザインのものを導入する予定です。もちろん車内は、ユニバーサルデザインなども考慮されます。

 また、車両だけでなく、走行空間や乗降・待合空間、運行サービスなどもコンセプトに合わせてデザインされる予定です。すでに2023年度には、運行のルートとなる広小路通で約2か月半の間テラス型バス停を暫定整備し、既存バスの正着性や乗降のしやすさなどをテストしています。

2023年に実施されたテラス型バス停「なごまちテラス」の社会実験(画像:名古屋市)
2023年に実施されたテラス型バス停「なごまちテラス」の社会実験(画像:名古屋市)

 このように、SRTは既存の市バスとは異なり、都心部の活性化に寄与するような交通システムになることを目指しています。

 また、次世代の交通システムとして思い出されるのが、栃木県で2023年8月に開業したLRT(Light Rail Transit、次世代型路面電車システム)の宇都宮ライトレール(通称「ライトライン」)です。日本国内の路面電車の路線としては、富山県の万葉線以来75年ぶりの新規開業ということもあり、話題となりました。

 名古屋市でも、計画段階でLRTやBRT(Bus Rapid Transit、バス高速輸送システム)も検討したそうですが、軌道の設置は道路インフラや自動車交通に与える影響が大きかった点もあり、最終的にはSRT(Smart Roadway Transit)方式が採用されました。

※ ※ ※

 住宅都市局は、SRTについて「昨今のデジタル技術を活用した運行サービスなどを積極的に取り入れ、移動しながら名古屋都心のまちを楽しんでもらう、新しい都市のシステムを目指していきたいと考えています」と述べています。

 ただの公共交通機関にとどまらない魅力を持たせようとするSRT。すでに提案されている車両デザインは、車体側面の大半がガラス張りになっているなど、非常に未来的なエクステリアをしています。また、デジタル案内板での情報提供なども計画しており、魅力・利便性ともに優れた交通システムになりそうです。

 2025年の名古屋がもっと魅力的なまちになるのを、筆者としても祈っております。

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