トヨタ新型「ハイラックスチャンプ」乗った印象は? 操縦性は「昭和時代のFRスポーツ!?」 どんなクルマなのか

試乗するとどんなクルマなのか?

 今回の試乗車はガソリンが2.7リッター(2TR-FE:166hp/245Nm)、ディーゼルが2.4リッターターボ(2GD-FTV:150ps/400Nm)で、どちらも6速AT(シーケンシャルシフト付)との組み合わせ。

 サイドブレーキはハンド式となっています。現時点ではピュアなICEのみですが、将来に向けたパワートレイン(ハイブリッド/BEV/FCEV)の搭載も視野に入れた設計になっているそうです。

 今回はリアに1トンのオモリを搭載しての走行でしたが、ガソリン車は発進時はおっとり穏やかな応答性ですが、実用域はスペック以上のトルク感とガソリン車らしい吹け上がりの良さを実感しますが、回転が高まると頭打ち感が強いので、早め早めのシフトアップのほうが気持ちよく走れるかなと。

 そういう意味ではATよりMTとの相性は良さそうです。

 ディーゼル車は発進時は意外と鋭い応答性に加えて、実用域は「おっ、力強い!!」と思うくらいのトルクを活かした力強さでグイグイと車速を伸ばします。

 ディーゼルにしてはレスポンスも俊敏かつ上までスッキリ回る特性のため、心地よさはガソリン車よりも上。ATとのマッチングも良いと思いました。

 どちらも「音」に関してはかなり賑やかですが、嫌な振動は上手に抑えられいる印象で、クルマのキャラクターを考えればネガには感じませんでした。

 むしろ、今のクルマでは感じにくい、パワートレインとのピュアな対話はしやすいと思います。
シャシーはIMV共通のフレームを活用しながらチャンプ用に最適化。

 用途に合わせてホイールベースは2種類(2750mm/3085mm)用意されていますが、今回の試乗車は2750mmです。

新型「ハイラックスチャンプ」とチーフエンジニア
新型「ハイラックスチャンプ」とチーフエンジニア

 サスペンションはフロント:ダブルウィッシュボーン(コイルバネ)、リア:リジット式(リーフスプリング)とピックアップトラック定番の仕様ですが、こちらも仕様に合わせて複数のセットが用意されています。

 フットワークはフレーム車独特の緩さはありますが、操舵はスローな上に間があるものの鈍な感じはなく、むしろハイラックスより俊敏な印象。

 コーナリング時はステアリングで「無理やり曲げる」感は少なめで、最新のトヨタ車に共通する素直で自然なフィーリングなので、ハイラックスよりも気負いなく乗れる上に軽快な動きのため、「意外とスポーツかも?」と言ったフィーリングに感じました。

 ただ、そうは言っても最新モデルのように無理な操作を全て許容するような懐ではないので、上手に綺麗に走らせるためにはクルマと対話しながらのドライビングが求められます。

 そういう意味では、ちょっと粗削りだけどピュアだった昭和時代のFRスポーツの操縦性に近いかなと。

 快適性は正直期待していませんでしたが、想像以上に高いレベルです。

 さすがに大きな入力は厳しいですが、タイに多い凹凸のある路面でもリーフ特有のヒョコヒョコするような動きは少なく、雑味の少ない足の動きとスピードよりも時間を重視した吸収性、更にシートのクッション性なども相まって、乗用車と比べると硬めではあるものの、非常に優しい乗り心地だと感じました。

※ ※ ※

 短時間の市場ながらも、最近のクルマでは見かけなくなった「シンプルisベスト」をカタチにしたモデルに仕上がっています。

 見た目も走りも「素朴」、「ピュア」で、ある意味クルマの原点を見直す一台と言ってもいいかもしれません。

 タイでは主にビジネスツール(架装されるケースが多い)として活用されるのが主ですが、日本ではミニバンやSUVとは違う、道具を超えた遊びのツールとして活用できそうです。

 もちろん、日本に導入される時には安全装備や快適装備をプラスする必要がありますが、筆者の肌感覚では進化版ランクル70くらいのレベルでいいと思っています。

 価格はタイでは45万9000バーツ(約189万円)から57万7000バーツ(約237万円)ですが、日本でも「買ってみたい!」と思わせる驚きプライスを期待したい所です。

 ネーミングは各国に合わせてサブネームが異なります(インドネシア:ハイラックス・ランガ、フィリピン:ハイラックス・タマラオ)が、日本では? 個人的には「ハイラックスZERO」が良いかなと。

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Writer: 山本シンヤ

自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

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