物議を呼んだ「エンジンブレーキがうざい」問題 そもそも迷惑運転になるの? 「危ない」ではなく車間距離が大切なワケ

エンブレは悪ではない! ではどう気をつける?

 これについて、指定自動車教習所の指導歴18年の現役教習指導員であるA氏に話を聞きました。

 運転時に気をつけたいことについて、A氏は以下のように説明します。

ブレーキランプ点灯の如何に関わらず車間距離は大切
ブレーキランプ点灯の如何に関わらず車間距離は大切

「クルマによってエンジンブレーキが強く働くものもあるため、ブレーキランプが点かずに減速するようなクルマの後ろを走るときは、いつも以上に車間距離を取ることが大切です。

 前のクルマと少しでも車間距離が短くなったと思ったら、早めにブレーキをかけて減速することが自車の追突事故防止だけでなく、後続車からの追突事故防止にもなります」

 減速する際、フットブレーキを用いるほうがブレーキランプを点灯させられるため、後続車には気づかれやすいと考えられますが、そもそも車間距離を十分に取っていれば煩わしいと感じることは通常はないでしょう。

 この問題は、改めて車間距離の大切さを考えさせられるものともいえます。

 その一方で、エンジンブレーキを積極的に活用したほうが良い場面もあります。

「急な下り坂や長い下り坂を走行するときは、フェード現象やヴェーパーロック現象などを防ぐためエンジンブレーキを活用することが大切です」(A氏)

 フェード現象とヴェーパーロック現象はいずれも異なるものですが、どちらともフットブレーキを使用し続けたことでブレーキが発熱してしまい、ブレーキが効きにくくなるものです。

 こうしたトラブルを避けるためには、エンジンブレーキも活用したほうがよく、時と場合によってフットブレーキとエンジンブレーキを上手に使い分けていく必要があるのです。

※ ※ ※

 そもそもエンジンブレーキで減速する行為について、迷惑運転とみなされる可能性はあるのでしょうか。これについてA氏に見解を求めたところ、以下のように説明します。

「後続車に対して、意図的に強いエンジンブレーキをかけて急に減速し、追突させようとする運転は、安全運転義務違反等の違反になる可能性があります。

 減速するときや停止するときは、ブレーキランプを点灯させることが追突事故防止に効果があります」

 自分自身が「適切に利用できている」と思っていても、周囲にとっては“迷惑”と感じさせることも少なくありません。

 このことから、A氏は過度にエンジンブレーキを用いて減速する行為について、違反になる可能性もゼロではないと指摘します。

 周囲に「うざい」と感じさせないように、今一度自身の運転を振り返りつつ、状況に応じた方法で思いやりと余裕を持った運転を心がけることが大切です。

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Writer: 青田 海

2023年4月よりライターとして活動を開始。初心者にもわかりやすく読みやすい構成を心がけ、自動車を中心に新車情報、カーライフにまつわる話題など幅広い記事を執筆している。芸能分野に詳しい。

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