新たな試みも! 愛知・岐阜で開催「ラリージャパン2023」 安全と魅せ方に挑戦! Day1・Day2終わった現状は?

2年連続での開催となった「ラリージャパン」。今年は昨年の教訓も活かし「安全」をさらに意識しつつ「新たな取り組み」を行っています。初日・2日目が終わり、どのような状況なのでしょうか。

 WRC世界ラリー選手権の2023年シリーズ最終戦「ラリージャパン2023」が11月16日から19日まで愛知県・岐阜県で開催されています。
 
 初日、2日目が終わった時点で、どのような戦いが繰り広げられたのでしょうか。

初日・2日目が終わった「ラリージャパン2023」
初日・2日目が終わった「ラリージャパン2023」

 2022年に12年ぶりの開催となったラリージャパン。

 2023年は去年の課題や反省点を活かした大会にすると実行委員会は説明していました。

 大きなポイントとしては、「安全」と「新たな取り組み」です。

 安全では「ラリー競技は公道を最速で走り抜ける=究極の安全運転」というトヨタの豊田章男会長や、実行委員会の太田稔彦会長の「ラリーを通して交通安全の意識を広げたい」という想いなどが背景にあります。

 2022年ではコース内への一般者立ち入りや、競技車両の火災などがありましたが、2023年では人員増加による警備強化や消防・警察との連携や専用装備を備えるなどの取り組みが行われています。

 もうひとつのポイントは、2022年ではセレモニーなどにしか使われなかった豊田スタジアムを特設コースにしたこと。

 これは豊田スタジアム内の芝生を剥がし、アスファルト舗装を行うことで2台が並走できる特別なコースが誕生しました。

 実際にスタンド席から見ると低い位置からは迫力のある走りが体感でき、高い位置からではまるでミニ四駆が走っているような面白さが感じられます。

 さらには、基本的に日没後のナイトセッションとなるため、照明による光と音の演出によりまるでライブ会場のような印象を受けました。

 そうして11月16日に初日(Day1)が行われ豊田スタジアム内でコンクリートブロックに囲まれた2.1kmのスーパーSS「豊田スタジアムSSS1」がスタート。

 初めて特設コースを走るラリーマシンを見た観客からは「いつもの豊田スタジアムがこんなに変わるのは凄い。2台が目の前を凄い速さで過ぎていくという普段味わえない経験が出来て感動してます」という声も。

 また各チーム関係者からは「大勢のお客の前で見てもらえるのは凄い嬉しいです。ただコースとしては難しい部分もあるので、なんとか上手く走りたいです」と話しています。

 なお実行委員会は「特設コースを作るのに約3億円かかっています。芝生を張り直して再度使えるのは2024年年明け頃です」と説明しています。

 また海外ラリーでは一般的な「ヘリによるSS間の移動」という新たな取り組みも行われており、日本の規制に照らし合わせながら今回テストを行っていると言います。

 担当者は「このテストを踏まえて、将来的にはVIP向けに付加価値のあるサービスを展開していきたい。そしてその収益で小学生などを招待するような仕組みにしていきたいと思います」と話しています。

豊田スタジアムがモータースポーツというエンターテインメント空間に!
豊田スタジアムがモータースポーツというエンターテインメント空間に!

 そして17日目(Day2)は朝から生憎の雨です。

 Day2から日本の公道、とくに山岳地帯で本格的な戦いが始まります。

 各チームによれば「世界各国の道に比べて日本の道は道幅が狭く、雨が降った際には滑りやすい。とくに落ち葉が多く、チャレンジングな場所」というコメントが目立ちました。

 そんなDay2は、愛知県の豊田市および設楽町で「SS2伊勢神トンネル」、「SS3稲武ダム」、「SS4設楽」という3本のステージを午前と午後で各2回走行。

 その後、豊田スタジアムでのスーパーSSという7本合計133.26kmのステージが予定されていました。

 SS2とSS3は降り続く雨の中で行なわれ、ステージは完全なウエットコンディションとなり、多くの水溜まりができ、視界もかなり悪化するなど非常に難しいコンディションです。

 そのSS2では、TGRの勝田貴元選手が大きな損傷をクルマに負いました。

 そしてヒョンデのダニ・ソルド選手、Mスポーツ・フォードのアドリアン・フルモー選手も同じ「伊勢神トンネル 11.81km地点」でコース脇の川に落ちるというアクシデント。

 なおソルド選手は2022年でも伊勢神トンネルで車両火災に見舞われるなど、各チーム関係者や地元のファンからは「魔の伊勢神トンネル」と呼ばれることになりました。

 またSS4となった「設楽」これらのアクシデントによりキャンセル。2022年に続き設楽での走りを見ることができません。

 そんな波乱に見舞われたDay2の午前でしたが、午後は晴れたことで順調に競技が行われておきます。

 なかでも勝田貴元選手はアクシデント後のSSをトップタイムで走り抜け、地元出身ドライバーとしての意地を見せました。

 このような戦いの中でTGRのワールドラリーチームのプロジェクトディレクター・春名雄一郎氏は次のように述べています。

「まずは豊田スタジアムにお客さんが見られる特設コースを作って頂いたことに感謝です。

 日本のラリーは海外に比べて見る場所が少ないという課題がありましたが、このような場所があるのは良いことだと思います。

 一方でDa1の特設コースでのTGRは弱い(遅い)部分が露呈しました。恐らく他のチームとはクルマづくりの考え方が違う部分が影響しているのだと思います。

 しかし、TGRは目先の勝利だけでなく最後にどのポジションにいるか、さらにはシーズン最後にどうなっているか、という部分を意識しています。

 Day2午前の雨で苦戦した部分はありますが、粘り強く走って行きたいと思います」

※ ※ ※

 そしてDay2の最後に開催された2回目の豊田スタジアム。

 Day1のドライ路面からウエット路面でのスーパーSSでしたが、各選手は果敢にせめて多くの観客にラリーの凄さを見せつけていました。

 しかしながら、いくつかの選手がウエット路面に苦戦し、コンクリートブロックに激突。これによりホイールが外れるというアクシデントにも見舞われるなど、新たな課題も。

 一方で金曜日の夜ということもあり、豊田スタジアムの上段に位置する自由席はほぼ満席近い状態で、多くのファンが楽しんでいたようです。

 日本特有の道の狭さや雨というコンディションにより、世界で1番「公道の路面状態を気にして最速で安全に走る」ラリードライバーでもアクシデントに見舞われます。

 そうした姿を生で体感することで普段の慣れた道でも油断せずに安全な運転を心がけることというメッセージが色々な人に伝われば、ラリーの魅力がさらに広がるかもしれません。

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