なぜ「スポーツモデル」相次いで披露? コンセプト一新の「ジャパンモビリティショー」 自動・電動化のいま「スポーツカー」必要な理由とは

「盛り上げ役」にはスポーツモデルが必須?

 そして、3つ目は「実は2019年のモーターショーはコンセプトカーが少なかったから」が考えられます。

「モビリティショーの展示車両にスポーツカーが多い」と感じるのは、前回の東京モーターショーと比べて相対的にその台数が増えているからにほかならないでしょう。

 実は、2019年の東京モーターショーはスポーツカーのコンセプトカーというよりもコンセプトカーそのものが少なかったのです。

 たとえばモビリティショーの一般公開日において人垣の多さでトップを争うのは日産のハイパーフォース、マツダICONIC SP、そしてトヨタのFT-Seなどのスポーツカーですが、前回モーターショーにおいて日産は前出のようにコンセプトモデルですが、後に市販する車両に厚化粧を施したものを展示。

 マツダ(市販予定車の「MX-30」をメインに展示)やトヨタ(ブース内にクルマと呼べるような展示物なし)からはコンセプトカーの出展そのものがありませんでした。

 スバルも市販予定の「新型レヴォーグ」がメインで、初公開のコンセプトカーはなかったのです。

ダイハツ「VISION COPEN」
ダイハツ「VISION COPEN」

 4年前は「スポーツカーのコンセプトカーが少ない」のではなく「全体的にコンセプトカーそのものが少ない」という状況でした。そんな前回に対して、今回はコンセプトカーが多く出展され、それに伴ってスポーツカーも増えたというのが今回のジャパンモビリティショーでスポーツカーが多いと感じさせる要因でしょう。

 そして4つ目の理由は、「そもそもスポーツカーの華やかさがブースやイベントの盛り上がりにつながるから」。

 モーターショー(モビリティショー)は2年に1度の自動車業界の盛大な“お祭り”なのですから、盛り上がってナンボといえます。

 そう考えたとき、やはり派手で華やかなスポーツカーや来場者を引き寄せますし、自動車メディアでの注目度も違います。盛り上げ役として、スポーツカーはいい仕事をするのです。

 メーカー側の視点で考えると、スポーツカーの華やかさがブースの集客につながり、注目され、それがメーカーのポジティブなイメージにもつながる。だからスポーツカーはショーに欠かせない存在といえるのではないでしょうか。

 2年後の「第2回モビリティショー」でも、多くのスポーツカーが展示され、ショーを盛り上げてくれるのが楽しみです。

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Writer: 工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに寄稿している。執筆で心掛けているのは「そのクルマは誰を幸せにするのか?」だ。現在の愛車はマツダ CX-60/ホンダ S660。

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