神出鬼没な「移動式オービス」にまさかの「ダミー」存在!? 導入費用は“0円”! 奈良県の警察署に“導入経緯”と“結果”を聞いた

奈良県の吉野警察署では、可搬式オービスに瓜ふたつな“ダミーオービス”が導入されているといいます。一体なぜなのでしょうか。

オービスに「ダミー」が存在!? 真相やいかに

 クルマの速度超過の取り締まりは、自動速度違反取締装置、通称「オービス」が大きく貢献していますが、なんと奈良県の吉野警察署には“ダミーオービス”が存在するといいます。

 一体どういうことなのでしょうか。

移動式オービスを模したダミーオービス(Photo:吉野警察署)
移動式オービスを模したダミーオービス(Photo:吉野警察署)

 高速道路や道幅の広い国道、スピードの出やすい道路などには、自動速度違反取締装置(オービス)が設置されていることがあります。

 なかでも、オービスにはひとりで持ち運び可能な「移動式オービス(以下、可搬式オービス)」が近年登場し、コンパクトなサイズでどこにでも設置できることから、速度違反に対する大きな抑止力となっています。

 そんななか、奈良県の吉野警察署では、可搬式オービスにそっくりなダミーオービスを設置・運用を行っているといいます。

 実際にダミーオービスを見てみると、本物の白い箱型のオービスに寄せてハリボテでつくられており、三脚の上に立てると、まるで本物と瓜ふたつです。

 近くで見ればニセモノと判断できるものの、クルマに乗っていて遠くから見れば本物と見分けがつかないでしょう。

 ではなぜダミーオービスが導入されることになったのでしょうか。奈良県吉野警察署の交通課担当者は以下のように話します。

「可搬式オービスによる取り締まりには大きな速度抑止効果があり、交通事故防止につながるので、『ダミー』を作り、実際の取り締まりでなくダミーを設置して、警戒従事をしても同様の速度抑止効果と交通事故防止になるのではないかと、若手交通課員2人が提案してくれたのがきっかけです」

 製作については、可搬式オービス製造元の東京航空計器に警察本部を通じて、確認・了承を得て、提案者の1人が3か月かけて製作を行いました。

 材料は警察署内にあるもので調達したため、製作費用0円で完成させたといいます。

 ダミーオービスの設置効果について、前出の担当者は「運用した地域の駐在所に『通行車両のスピードが落ちた』との声も寄せられています」と説明します。

 可搬式オービスは、種類にもよりますが1台1000万円ほどの値段のものも存在し、今回のダミーオービスのように、費用がかからずに速度超過の抑止につながるのは大きなメリットといえるでしょう。

 ダミーオービスの今後の運用について、前出の担当者は以下のように話します。

「本物の可搬式オービスとダミーを並行して運用し、効果的に管内の速度抑制を図り、交通事故防止に努めます」

※ ※ ※

 今回製作されたダミーオービスを見たユーザーからは、「交通課の努力と経費0円で抑止効果があるなら良い仕事ですね」「効果あると思う」「良い工夫だな」といった声が寄せられています。

 今後、吉野警察署管内では、本物と瓜ふたつの“ダミーオービス”の活躍がより一層期待されます。

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