なぜ「鉄チン」と呼ぶ? 再注目される「スチールホイール」だけど… 「チン」とはなんなのか

もしかしたら「トン・チン・カン」が由来の可能性も

 ただ、この説にはいくつかの疑問があります。

「鉄砧」は金属加工がはじまった頃から存在すると見られるなど、非常に古い歴史を持っているようです。

 しかし、いくつかの文献を見ると「鉄砧」という表記は見られるものの、その読みは「かなとこ(かなどこ)」や「かなしき(かなじき)いう例が多く、「てっちん」と読む例は皆無です。

 また「金床」や「鉄床」、「金敷」や「鉄敷」という表記も多く、「鉄砧」と書いて「てっちん」と読むことが一般的であったとは断定することはできません。

 さらに、そもそも「鉄砧」とスチールホイールが似ているのかという点にも疑問があります。

最近ではホワイトレタータイヤなどと組み合わせることが流行っている
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 そこで、もうひとつの説が浮かんできます。

 それは、鉄を加工する際の音に由来するというものです。

 ハンマーを用いておこなう金属加工の音を「トン・テン・カン」と表現することがありますが、熟練していない人の場合だと「トン・チン・カン」と表されます。

「見当違いなこと」を意味する「トンチンカン」はここに由来していると言われています。

 スチールホイールが「見当違い」なものであるというわけではなく、親しみを込めて鉄を表現する際に、最も語感の良いものとして「チン」が採用されたということが考えられます。

 いずれにせよ、「鉄チン」という表現は極めて限定的なものであると見られ、金属加工を生業とする人たちや、クルマをカスタムする人たちの間で徐々に広まってきたものであることは間違いないようです。

※ ※ ※

 クルマのエアロパーツのひとつに「チンスポイラー」と呼ばれるものがあります。

「鉄チン」と同じく「チン」という表現が用いられていますが、「チンスポイラー」の「チン」とは「あご」を意味する英語の「Chin」に由来しているため、「鉄チン」の「チン」とは直接関係がないようです。。

 これは、「チンスポイラー」を装着するのがフロントバンパーしたであり、ここはクルマのフロントを顔に見立てた際にあごに当たることからその名が付けられたとされています。

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Writer: PeacockBlue K.K. 瓜生洋明

自動車系インターネット・メディア、大手IT企業、外資系出版社を経て、2017年にPeacock Blue K.K./株式会社ピーコックブルーを創業。グローバルな視点にもとづくビジネスコラムから人文科学の知識を活かしたオリジナルコラムまで、その守備範囲は多岐にわたる。

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