えっ…トヨタ「アルファード」に激似!? 謎の高級ミニバン「デンザ・D9」は何者? 現地で見たスゴさとは

見た目は先代アルファードに似てるが…D9の実力は?

 今回試乗したのはPHEVモデルの「DM-i」、四輪駆動モデルです。

 ちなみに「DM」とはBYDがPHEVモデルに付与している名称で「デュアルモード」を意味します。

 経済性重視の「DM-i」とパフォーマンス重視の「DM-p」の二種類が存在しますが、多くの車種は前者のみ設定されている場合が多いです。

 エクステリアはBEVとPHEVで区別されており、PHEVはブロック状に分割されたフロントグリルが特徴的です。

 高級感を演出する一方、処理はメッキではなくつや消しのシルバーとなっており、少しばかりの安っぽさは否めません。

 インテリアは簡素すぎず複雑すぎずといったところで、見た目の印象が落ち着いた雰囲気を醸し出します。

 ウッド調のパネルもとてもおしゃれですが、エアコンのルーバーなどの細部における表面処理は少々荒いと感じました。

 また、セレクターやその周辺のボタン類は通常のBYDとまったく同一で、差別化が図れていない、もしくは差別化を図るつもりがないのではという印象を受けました。

 乗り味は高級ミニバンらしく上々で、不快な感じはまったくありませんでした。

 ですが、その直後に試乗したジーリーのEVブランド「ジーカー」の「009」と比較してしまうと、かなりの物足りなさを正直感じてしまいます。

 乗り心地のみならず、内装設計の美しさやインフォテインメントシステムの充実度、そしてディスプレイのUIなど、すべてにおいてジーカー 009のほうが上です。

デンザ D9のインテリア(撮影:加藤博人)
デンザ D9のインテリア(撮影:加藤博人)

 ただ、これは価格帯を考えたら当然の結果とも言えます。

 デンザ D9はPHEVモデルが33万5800元(邦貨換算:約667万9000円)から、BEVモデルは39万5800元(約787万2000円)となります。

 一方でジーカー 009はBEVのみ、価格は49万9000元(約992万5000円)から58万8000元(約1169万6000円)です。

 航続距離(CLTC)もジーカー 009は702km/822kmとはるかに上なので、あとは消費者が各々に合った選択肢を選ぶ形になるでしょう。

 総じて見ればデンザ D9も十分に満足の行く内容で、価格を考えたらコストパフォーマンスに優れているクルマであると感じました。

デンザはD9に続くモデルとしてコンパクトSUV「N7」を2023年4月の上海モーターショーで発表、予約の受付を開始しました。

 N7は販売価格が明かされていない状況でも予約開始6時間で約5500件の注文を受けたとしており、期待度の高さがうかがえます。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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