トヨタ高級ミニバン「アルヴェル」はどっちがお兄さん? よく聞く「兄弟車・姉妹車」ってナニ? 基準はあるのか
トヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」のように、ベースを共通とした派生車種に対し「姉妹車」「兄弟車」などと表現することがあります。そもそも「姉妹」「兄弟」はどちらが正解なのでしょうか。
並列な関係以外でも使われる「姉妹」「兄弟」の表現
クルマの基本部分を共有しながら、見た目の印象を変えたクルマのことをしばしば「兄弟車」もしくは「姉妹車」といいます。
よくよく考えると謎の表現ですが、実際のところ「兄弟」と「姉妹」は、どちらが正しい表現なのでしょうか。
2023年6月にフルモデルチェンジしたトヨタの高級ラージクラスミニバン「アルファード」と「ヴェルファイア」。
この2つのモデルも、クルマとしての基本的な部分を共有しながら、主に見た目の印象を変えた「姉妹車」、あるいは「兄弟車」と呼ばれる関係にあります。
ただしどちらが「兄」でどちらが「弟」という明確な分け方ができる訳ではありません。
過去の事例を挙げてみると、1980年代に活躍したトヨタのセダン「マークII」「チェイサー」「クレスタ」の3モデルは、「マークII 3兄弟」と呼ばれていました。
また、同じく1980年代に活躍した日産のコンパクトカー「パルサー」「ラングレー」「リベルタビラ」も、「パルサー3兄弟」と呼ばれていたのを覚えている人はいるでしょう。
近年の事例でも、トヨタのミドルクラスミニバン「ノア」「ヴォクシー」「エスクァイア(2021年12月生産終了)」も、「ヴォクシー3兄弟」とか「トヨタのミニバン3兄弟」などと呼ばれていました。
ただ一方で、紹介する際には、「エスクァイアは、ノアやヴォクシーと姉妹車の関係にあります」と表現されることが多いなど、「姉妹車」という表現も「兄弟車」という表現も、どちらも使われているのが実情です。
兄弟が正しいのか、あるいは姉妹が正しいのかに関しては、どちらかが間違っていてどちらかが正解、ということはないようです。
その考察のヒントとなるのが、この表現がクルマ以外にも広く使われている点にあります。
例えば、友好関係にある町同士を「姉妹都市」としたり、のれん分けされた店舗を「姉妹店」、経営上のつながりから「兄弟会社」などと、様々なジャンルで使用されています。
姉妹都市の事例で見てみましょう。
フランス語やスペイン語など欧州の言語には、名詞が「女性名詞」と「男性名詞」に分類されます。
都市(city)が女性名詞であったことから、「Sister City」と表記し、これを日本語に直訳したというのが、事の真相のようです。
この場合、必ずしも「姉」と「妹」で上下関係や差がある訳ではなく、まるで親族のように近しい関係であることを表現しているといえます。
一方で上記の姉妹店や兄弟会社のように、「本家(ほんけ)」や「親会社」と、「分家(ぶんけ)」「子会社」のように、明確な上下・主従の関係がある場合でも、同様に姉妹や兄弟で表現することがあるのも面白いところです。
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