「あぁぁ…!」 “車両火災”なぜ起こる? クルマが炎上したらどうすればいいのか

クルマが炎上する「車両火災」の映像をニュースやSNSを通して目にしたこともあるかもしれません。そのような車両火災はなぜ起こるのでしょうか。今回は車両火災が起こる原因は何が多いのか、発生してしまった場合どうすれば良いのか考察します。

車両火災、なぜ起こるのか

 カメラの普及によって、ニュースやSNSを通してクルマが炎上している映像を目にすることが増えてきました。国土交通省によると、クルマの不具合によって発生した車両火災の件数は、自動車メーカーからの報告だけでも年間1000件以上。2021年は1070件(前年比67件増)でした。

なぜ車両火災は起きるのか(画像はイメージ)
なぜ車両火災は起きるのか(画像はイメージ)

 装置別で見ると、火元が特定できた中で最も多いのは「原動機」の183件で、全体の17.1%を占めます。次いで「電気装置」(170件、15.9%)、「走行装置」(78件、7.3%)、「制動装置」(56件、5.2%)の順でした。総走行距離が増えるにつれて「原動機」からの出火割合も増える傾向にあります。

 車両火災の原因は多岐にわたります。オイルの劣化や燃料漏れに起因するもの、バッテリーなど電気系統のショート、ペットボトルや透明吸盤による収れん現象、車内に放置したライターやスプレー缶の破裂などが挙げられます。

 火災を防ぐためにも点検整備は欠かせませんが、エンジンルーム内にうっかり置き忘れてしまったウエスや手袋などの可燃物が火種となって火災に発展するケースがあることも忘れてなりません。

 同省が行った実験によると、エンジンオイルが付着した手袋(綿)の発火温度は300℃前後。エンジンオイル単体の発火温度350℃より低く、高速道路を走行した直後のほか、市街地の一般道を走行した場合でも、エンジンの高温部分は発火温度に達することが確認されています。エンジンルームに入り込んだ枯れ葉によって火災が発生した事例もあり、同省は運転前の点検を呼びかけています。

 車両火災については、消防庁の消防白書でも報告されています。調査の対象や方法が国土交通省のものとは異なりますが、出火原因として最も多いのは「排気管」です。

 排気管は走行中、エンジンとつながる部分の温度が300℃以上になることがあります。そのため漏れたエンジンオイルが排気管に付着すると、火種がなくても発火する恐れがあるのです。先述した国土交通省の統計結果で排気管が出てこないのは「その他の装置」(249件、21.9%)に含まれているためです。

 走行中に万一、火災が起きた場合、まずハザードランプで後続車に対して緊急事態が発生したことを伝えます。次にクルマを安全なところに停めて、119番に通報し、自らが危険にさらされない範囲で初期消火に努めます。火災が拡大した場合は、すみやかに安全な場所に避難してください。

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