レクサス新型「LBX」世界初公開! 「ヤリスクロス」と全く異なる「小さな高級車」なぜ誕生? 担当者が解説!
新型LBXはパワートレイン、足回りにも「小さな高級車」を詰め込んだ! なにがすごい?
―― パワートレインは全車ハイブリッドになります。直列3気筒1.5L+THSII+バイポーラ型ニッケル水素電池とアクアに近いようですが、この辺りは?
遠藤:エンジンは音・振動を抑えるためにバランサーシャフト付、モーターを含めたトランスアクスルは「ノア/ヴォクシー」で開発した第5世代とLBX専用のユニットになります。
ただ、モーターは大きくするだけでは意味がないので大電流が流せるバイポーラを採用と言うわけです。
システム出力100kWですが体感的にはそれ以上で、加えて「電気リッチ」な走りも実現しています。
――具体的にはどのような感じですか?
遠藤:とにかく「電気の使い方」にこだわっています。
電気でシッカリ走る切る/加速する領域を上げ、その間にエンジン回転を上げる準備をすることでGの立ち上がりをリニアする制御にし、結果として繋がりのいい気持ちいい加速を実現しています。
―― アッパーサポートの位置は変更ないと言う事は、キャスタートレールは大きい?
遠藤:その通りで、直進安定性はこのサイズのクルマの中では非常に高いレベルになっています。
真っすぐ走るクルマを作った上で気持ちいいハンドリングを目指しました。その1つがロールステアをリニアにするべくサスペンション部品のバラつきを徹底的に減らしています。
その結果、限界域まで気持ちよくリニアにコーナリングできるセットです。
ナックルもアルミの鍛造に変更していますが、タイヤの大径化で重量アップしていますので、バネ下重量を軽くする必要がありました。
これにより足のバタつきも抑えらえています。
――アッパーサポートに3点締結の入力分離型の採用とありますが、これは?
遠藤:これはCプラットフォーム以上で採用している物で、剛性を担保しながら運動性能を高める効果(しなやかな足の動き)を実現しています。
―― 佐藤プレジデント時代から「レクサスは基礎体力が大事」と語っていました。
遠藤:プラットフォームと同じく専用開発で、短ピッチ打点技術、構造用接着剤採用部位の拡大による接合剛性はもちろん、性能向上に寄与する部位の局部剛性アップなど抜かりなしです。
それと並行して軽量化や重心高の低減など、慣性諸元も最適化しています。
―― リアサスはFFがトーションビーム式、AWDがトレーリングアーム式2リンクダブルウィッシュボーン式を採用。FFにもトレーリングアーム式2リンクダブルウィッシュボーン式を採用しなかったのは、なぜですか?
遠藤:FFはクルマを軽くしたかったので、“あえて”の採用です。
―― ちなみに生産はどこが担当しますか?
遠藤:トヨタ自動車東日本・岩手工場です。
実は旧関東自動車時代にレクサスの生産をしていた経験がある上に、世界で1番コンパクトを上手に作れる工場はここしかないと思っていたので、迷わず。
さらにセンチュリーの品質管理をしている部長さんが、LBXを担当しているので全く不安はないです。
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LBXはレクサスラインアップの中では最も小さなモデルです。
しかし、その内容を知れば知るほど兄貴分のモデル以上のこだわりが凝縮されている事が解ります。
まさに「小さな巨人」と言える1台かもしれません。
発売はもう少し先になりますが、秋ごろには日本仕様に関する情報が出てきそうです。
ありそうでなかった“真”の小さな高級車、レクサスのゲームチェンジャーになるのは間違いないと思います。
個人的にはFスポーツが無いのが残念ですが、「GRヤリス」のパワートレインを活用したスポーツバージョン「LBF」があっても面白いかなと。
Writer: 山本シンヤ
自動車メーカー商品企画、チューニングメーカー開発を経て、自動車メディアの世界に転職。2013年に独立し、「造り手」と「使い手」の両方の想いを伝えるために「自動車研究家」を名乗って活動中。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。
リアサスがトーションビームなのを批判する輩は「クルマ音痴」であることの証明になりますね。
そもそもトヨタ程足回りを研究しているメーカーは国内外とも無い。ファミリー向けミニバンでさえその乗り心地はかつての何かよく分からん欧州メーカーのハイドロなんちゃらを超える快適さである。