スバルの爆速「オフロードSUV」あった! 悪路もイケるインプWRX!? タフ顔「グラベルEX」は究極のスポーツ四駆だった
スバルは1995年、ラリー常勝マシン「インプレッサWRX」の水平対向ターボエンジンと4WDをベースにした、オフロードSUVの先駆けといえる「グラベルEX」を発売しました。どのようなクルマだったのでしょうか。
「ラリーのスバル」が生んだオフロード四駆の究極系
水平対向エンジンや4輪駆動システムなど、数々の独自技術を誇るスバルですが、1995年にこれらの集大成ともいえるオフロードSUV「グラベルEX」を誕生させました。
その後のスバルの姿を予見するかのような、究極のスポーツ四駆モデルについて紹介します。
スバルは、世界で初めて乗用車タイプの全天候型4WD(四輪駆動)車を市販化した自動車メーカーです。
1972年に市販化された「レオーネ4WDエステートバン」はやがて「ツーリングワゴン」に発展。
水平対向エンジンと4WDをコア技術とし、様々な路面環境に対応する走行性能の高さをベースに、安全に長距離移動できるレジャービークルとして広く支持を集めるようになります。
やがてこうした技術の裏付けをもとに、世界ラリー選手権(WRC)への参戦を開始しました。
1992年に誕生した「インプレッサ」では、2リッター水平対向4気筒インタークーラー付きターボエンジン搭載の高性能版「インプレッサWRX」がWRCで常勝するほどの大活躍を果たし、名実ともに4WDスポーツセダンの代表的存在へ成長しています。
インプレッサWRXは4ドアセダンに加え、5ドアハッチバック(スポーツワゴン)にも設定され、スキーなどを楽しむアウトドアユーザーから絶大な支持を集めています。
こうした需要は、より上級クラスの「レガシィツーリングワゴン」でも顕著で、最低地上高をアップしオールラウンド性を高めた「アウトバック」(当初の日本名は「レガシィグランドワゴン」)を1995年に新設定しました。
そして同様のコンセプトをインプレッサにも採用し、同年に誕生したのが「グラベルEX」でした。
グラベルとは「砂利道」を意味し、グラベルEXが未舗装路での走破性アップを狙いとしていることがネーミングからもストレートに伝わってきます。
ベースはインプレッサWRXの5ドアスポーツワゴン。パワートレインは、ラリー常勝の血統を受け継いだ最高出力220psの2リッター水平対向ターボエンジンを搭載し、4WDと組み合わせます。トランスミッションは5速MTと4速ATが選択できました。
アウトバック同様に地上高を上げることで悪路での走破性を高めたのが特徴ですが、外観上のカスタマイズも手が込んでいます。
当時、三菱「パジェロ」に代表されるクロスカントリー型四輪駆動車(クロカン四駆)のブームを受け、これらのモデルが採用していたバンパーガード(カンガルーバー)や、スペアタイヤの背面搭載などタフなイメージを強調する装備を加えるなど、多くの変更がなされているのです。
高いスポーツ性能を有するコンパクトなクロカン四駆というコンセプトは、国内外でも極めて希少な存在でした。
しかし当時としてはかなり斬新すぎたようで、多くの理解を得られないまま1年足らずで生産を終えています。
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その後スバルは1997年、同社初の本格クロスオーバーSUVとなる「フォレスター」を発売。グラベルEXで培ったオフロードも対応可能なスポーツ4WD性能を武器に、日本のみならず北米市場などでも絶大な支持を集めることに成功しました。
現在フォレスターは、グローバルのスバル車のなかで最も売れているモデルへと成長を遂げています。
一方でインプレッサも、5ドアハッチバックをベースにクロスオーバーSUVモデル「XV」(現行型は「クロストレック」)を派生させ、やはり人気モデルとなっています。
そんなスバルの人気SUV誕生の背景には、かつてのグラベルEXでの果敢な取り組みが、確実に生かされているといえるでしょう。
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