デビュー7年でも絶好調! ホンダの「小型ミニバン」何が良い?「フリード」には売れる条件がそろってた!?

コンパクトミニバンとして必要な要素が盛り込まれている

 フリードは設計が古くなったものの、コンパクトサイズながらミニバンにとって必要な条件を満たしています。

 まずフリードの2列目シートは、人気の高いセパレートタイプのキャプテンシートが基本です。両側にアームレストが備わり、座り心地も快適。2列目シートの間が通路になって車内の移動もしやすく、3列目シートの乗員が2列目に移動してスライドドアから乗り降りできます。

ホンダ「フリード」
ホンダ「フリード」

 しかも一般的にキャプテンシートの価格はベンチシートよりも高いですが、フリードは逆で、キャプテンシートの6人乗りのほうがベンチシートを備えた7人乗りよりも安価なのです。

 シエンタにはキャプテンシートが用意されないため、コンパクトミニバンではフリードの優位性が際立ちます。

 フリードの3列目シートを格納する方法は、一般的な左右に跳ね上げるタイプですが、路面から荷室の床までの高さは480mmと低く設定されており、自転車を積む時も、前輪を大きく持ち上げる必要はなく、使い勝手が優れています。

 ちなみにシエンタの3列目シートは床下に格納するタイプです。フリードと違って、格納された3列目シートが荷室に張り出さず、スッキリと使えます。

 その代わり3列目シートを出し入れする時は、2列目シートも動かす必要があるため、2列目シートにチャイルドシートを装着すると使い勝手が悪化してしまうのですが、その点でフリードなら、2列目シートにチャイルドシートを装着しながら、少々狭いですが3列目シートに大人が座ったり、格納することも可能です。

 そしてフリードの販売が好調な背景には、N-BOXのヒットも影響しています。

 2022年度に国内で新車として売られたホンダ車のうち、37%をN-BOXが占めました。そこにフリードも加えると、ホンダ車全体の50%を超えるのです。

 N-BOXは2011年に初代モデルを発売してヒット作になり、2代目は2017年に登場してさらに好調に売れたことで、ホンダのブランドイメージは「コンパクトで実用的な背の高いクルマのメーカー」になりました。

 フリードはこのブランドイメージと親和性が高く、N-BOXとともに人気を高めているといえます。

 かつてのホンダは、天井の低いスポーティなクーペやハッチバックが主力でしたが、今は逆で、背の高い車内の広い軽自動車とコンパクトミニバンのメーカーになったのです。

 そうなると、3ナンバーサイズのミニバンを買うならトヨタのノア/ヴォクシーや「アルファード」で、ホンダはコンパクトなフリードという選ばれ方をします。

 コンパクトカーのフィットも、ガソリン車の価格はN-BOXと、ハイブリッド車はフリードと重複するため、この2車種にユーザーを奪われて売れ行きが伸び悩んでいます。

 このほか新車の納期の長期化も販売面で影響を与えました。

 販売店によると「フィットやヴェゼルの納期は約1年ですが、フリードとN-BOXなら半年程度に収まります」とのこと。納車が順調に進んでいることも、フリードの販売が好調な理由です。

※ ※ ※

 フリードは、シートの配列や荷室の使い勝手といった商品力の高さや、ステップワゴンのサイズアップ、ホンダのブランドイメージの変化、納期の短さなど、いろいろな要因が重なって好調に売れています。

 フリードとN-BOXはそろそろフルモデルチェンジが近づいてことが予想され、日本国内の「N-BOX+フリード体制」はますます強化されるでしょう。

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ホンダ「フリード+(プラス)」
ホンダ フリードプラスでの車中泊(イメージ)
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ホンダ「フリード+(プラス)」
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ホンダ「フリード+(プラス)」
ホンダ「フリード+(プラス)」

Writer: 渡辺陽一郎

1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年務めた後、2001年にフリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向。「読者の皆さまに怪我を負わせない、損をさせないこと」が最も重要なテーマと考え、クルマを使う人達の視点から、問題提起のある執筆を得意とする。

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