ホンダが「F1参戦」を正式に決定! 2026年シーズンから復帰! 再挑戦に至った経緯とは

ホンダは2023年5月24日、自動車レースの最高峰「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)」の場に2026年シーズンから復帰することを発表しました。

ホンダが「F1」復帰を正式に発表!

 2023年5月24日、ホンダは自動車レースの最高峰「FIAフォーミュラ・ワン世界選手権(以下、F1)」の場に、2026年シーズンから復帰することを決定したと発表しました。

 発表によると、今回の参戦はシャシー開発やチーム運営を含めたフルワークス体制ではなく、同じくF1に参戦している英国の自動車メーカー「アストンマーティン・ラゴンダ・グローバル・ホールディングス」のチーム「アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラ1チーム」とコンビを組み、エンジンなどのパワーユニットをチームに供給する「パワーユニットサプライヤー」という立場での参戦となります。

ホンダのF1挑戦は1964年のドイツGPから始まった。写真は当時のホンダF1マシン「RA271」
ホンダのF1挑戦は1964年のドイツGPから始まった。写真は当時のホンダF1マシン「RA271」

 かつてホンダは、自らのエネルギーマネジメント技術をもってF1に勝利することを目指し、1964年に日本の自動車メーカーとして初めてF1に参戦。1983年からはエンジンサプライヤーとして参戦し、1988年から1992年には英国のF1チーム「マクラーレン」にエンジンを供給していました。

 この時代のマクラーレンは、アイルトン・セナ氏やアラン・プロスト氏などの名だたる選手が所属していたこともあり、マクラーレン・ホンダは4年連続でタイトルを勝ち取る大成功を収め、「黄金時代」とも言われる好成績を残しています。

 しかし2008年には米国発の世界的な経済不況「リーマンショック」を受けて、ホンダはF1の場から撤退。

 2015年には、再びマクラーレンにパワーユニットを供給する立場としてF1に復帰しチャレンジを開始しましたが、2017年に両者は関係を解消。

 2018年からはレッドブル系のレーシングコンストラクター「トロロッソ(現在のスクーデリア・アルファタウリ)」にパワーユニット供給を開始し、翌年2019年からはこれに加えて本家のレッドブル・レーシングにもパワーユニットの供給を開始します。

 しかし7年目となる2021年シーズンには状況が一転。カーボンニュートラル時代への対応と環境技術開発へリソースを集中することを理由に、ホンダは再度完全にF1から撤退していました。

 一方で、現在もレッドブル・レーシングとスクーデリア・アルファタウリへの技術的な支援は引き続き行われており、2025年までは続く契約となっています。

 F1からの撤退を発表した2020年10月の会見で当時のホンダ社長の八郷隆弘氏は、「自動車産業界が100年に一度の大変革に直面している」という社会情勢を強調。

 最重要課題である環境への取り組みと持続可能な社会を実現するため、開発リソースを電動化に大きくシフトする必要があることから、F1への参戦を終了するという判断をしたと説明していました。

 その状況に変化が見られたのが、ホンダが2026年以降のF1のパワーユニットサプライヤーとして登録したことを伝えた、2023年2月3日のFIA(世界自動車連盟)の発表です。

 これについてHRC(ホンダレーシング)の代表取締役社長 渡辺康治氏は、「F1そのものが電動化に大きく舵をとっており、これはホンダの企業方針であるカーボンニュートラルの方向性と合致する」とサプライヤー登録に至った理由について説明。「今後のF1の技術動向やレース全体のあり方がどうなるのかをしっかり見ていく」と話しています。

 さらに「パワーユニットサプライヤー登録の後、複数のF1チームからコンタクトをもらった」ことも認めた上で、「現在のところホンダ単体としてのF1再参戦の結論には至っていない」とも回答し、ホンダの将来的なF1復活については全面的には否定していませんでした。

 また、直近のF1パワーユニットの開発状況について、ホンダのF1パワーユニット開発責任者 角田哲史氏は「2022年シーズンから2025年シーズン用のパワーユニットは、レギュレーション上、初期の設計要件において最高出力を上げることは許されておらず、主に信頼性向上のための開発を行っている」とも明らかにしていました。

 その上で「ホンダの方針である量産車の電動化シフトに向け、F1パワーユニット開発メンバーのリソースが割かれたが、新規の大きな開発がないことから残ったメンバーでも十分に対応できている」と話しています。

 今回のF1復帰の理由について、ホンダの取締役 代表執行役社長の三部敏宏氏は、以下のようにコメントしました。

「ホンダは21年にF1のエンジン開発を中止し撤退していましたが、現在のF1は持続可能な燃料の導入などの新基準を打ち出しており、ホンダの脱炭素に向けた研究開発に活用できると判断しました。

 また、世界最高峰レースへのチャレンジから得られる高い技術とユニークなアイデアは、量産車へもフィードバックされるホンダのDNAであり、さらに人材育成という面においても参戦によって得られる価値が非常に高いことから、今回F1に再度参戦することを決定しました」

※ ※ ※

 ホンダは今回F1参戦を発表する一方で、同社が掲げる「2050年カーボンニュートラルの実現」を目指すために、燃料電池車や電動自動車など将来のパワーユニットやエネルギー領域での研究開発を目的とする「先進パワーユニット・エネルギー研究所」を2020年4月に設立しています。

 今後のホンダのF1での動向とともに、同社のクルマの電動化への対応について、再び世界から注目が集まっています。

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