ついうっかり…「内掛けハンドル」 実は危険? 正しいハンドルの回し方は、ある? 知っておきたい操作方法とは
免許取得時に教習所で習って以来、ハンドル操作について深く意識せず行っている人は多いはず。改めて確認しておきたい「正しいハンドル操作」とは、一体どのような方法なのでしょうか。
大きく分けて2タイプある「ハンドル操作の正しいお作法」とは
クルマのハンドル操作には、何種類かのやり方がありますが、そのなかには走行中の緊急回避が難しく、極めて危険なハンドル操作の方法もあるといいます。
こうした誤った方法ではなく、「正しいハンドル操作方法」について改めて紹介します。
クルマのハンドル操作の正しいやり方として、教習指導者やレーシングドライバーなどの間で知られているのは、腕を交差させない「送りハンドル」と、クロスさせながら持ち替えていく「クロスハンドル」の2パターンに大別されます。
まず送りハンドルは、ハンドルを回した際も腕が交差しないように、手の位置をずらしながら操作する運転方法です。
ハンドルから両手を離すことなく、また腕をクロスする瞬間がないので、ハンドルを保持する力が常に安定します。
また切り足りないぶんは、少しだけハンドルを回し送ればよいので、丁寧な運転にもつながります。
その反面、素早く回したいときや、大きく曲がりたいときなどには、ハンドルを回すスピードがクロスハンドルよりも落ちるため、特に初心者ドライバーにとっては、少し難しいハンドル操作かもしれません。
一方、ハンドルを回した際、左右の腕をクロスさせるようにして持ち替えていくのがクロスハンドルです。
クロスハンドルには、短い時間でたくさん回せるというメリットがあります。
しかし、ハンドルを切り込んだところから、さらに切り足すような調整が難しく、また、ハンドルを片手で握る時間があるために、保持が安定せず、外乱に対して弱い、というデメリットもあります。
送りハンドルとクロスハンドルのどちらがいいのかは、走行スピードやコーナーの大きさなど、その時の状況によっても変わってくるため、どこをどういったスピードで走るのか、前提条件によっても正解は異なってきます。
日本の教習所では、「クロスハンドル」で教えてくれることが多いようですが、海外では「送りハンドル」が基本として教えられている国もあるようです。
国内の自動車メーカーで働くテストドライバーに取材したところ、次のように話します。
「普段の運転シーンでは、送りハンドルがベターです。
ただし、パイロンスラロームなどで頻繁なハンドル操作を行い、運転技能を競う『ジムカーナ』といったモータースポーツ競技の場合、送りハンドルでは間に合わず、クロスハンドルを使うことになります。
しかしそれは極めて特殊な運転条件下でのハンドル操作といえます。
通常走行では送りハンドルを行い、やむを得ない場合にはクロスハンドルも使うのが適切でしょう」
普段の運転シーンでは、ハンドルを素早く回す必要はない、ということがいえそうです。
また、このテストドライバーは次のようにも話します。
「例えば送りハンドルで右に曲がる場合、左手でハンドルを押し上げることを意識すると、ハンドル操作はより安定します。
右手でハンドルを引くようにして回す操作よりも、左手で押し上げるように回したほうが、力の加減がしやすいために正確なハンドル操作がしやすくなります」
そう考えると、もちろん状況にもよりますが、ハンドルを押し上げる操作ができないクロスハンドルよりも、押し上げる操作が可能な送りハンドルのほうが、より適切だと考えられます。
※ ※ ※
一方、ダメだと断言できるのが、「内掛け(逆手)ハンドル」です。
交差点などで多めにハンドルを回す際に、ハンドルの内側から手を入れて回す「内掛けハンドル」は力を入れやすいとされていますが、これはハンドル操作を補助するパワーステアリングが普及していなかった時代の名残りとみられ、かなり古い常識といえます。
前出のテストドライバーは次のように話します。
「内掛けハンドルはハンドルの内側に手を入れてしまうので、万が一の緊急対応が難しくなります。
例えば交差点で曲がった先で、とっさに回避しなくてはならない時、逆方向へ即座にハンドルを切ることができなくなる可能性があるのです。
またステアリング上のエアバッグが作動した際に、バッグに押し潰されて腕を骨折してしまう可能性もあります」
内掛けハンドルがクセになっている人は、意識して修正していくといいでしょう。
送りハンドルであれば、より正確なハンドル操作が可能となるばかりか、しっかりとハンドルを支えているおかげで外乱による挙動の乱れも少なくなります。
運転上級者を目指すならば「送りハンドル」を習得されることをオススメします。
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