なぜ、トヨタ新型「クラウンセダン」だけ実車展示? 高まる期待感で注目される「ショーファーセダン」に水素仕様が存在するワケ
FCEVに力を注ぐ中国、新型クラウンセダンはその波に乗れるか?
では、なぜトヨタは新型クラウンセダンにFCEVを設定したのでしょうか。その理由のひとつは、日本国内ではなく中国にあるようです。
政府主導の強力な後押しもありすでに世界最大のBEV市場となっている中国ですが、2022年末をもって補助金政策が終了したことなどもあり、最近ではやや落ち着きを見せています。
一方、中国政府は「水素エネルギー産業発展中長期規画(2021年から2035年)」を2022年3月に発表しており、そのなかで今後各産業における水素エネルギーの利用を積極的に推進していくことを明らかにしています。
具体的には、「2025年までに北京や上海、広東省といった主要地域で実証実験を行うこと」、「2030年までに水素エネルギー産業技術のイノベーションシステムを完成させること」、「2035年までに各分野で多様な水素エネルギー応用のエコシステムを構築すること」などが盛り込まれています。
FCEVに関しては、2025年までに保有台数を現在のおよそ5倍となる5万台にまで引き上げるとしています。
この大半はトラックやバスなどの商用車が占めると見られますが、保有台数の増加にともなって水素ステーションも充実していくことが予想されるため、乗用車にとっても追い風になることは間違いありません。
また、日系自動車メーカーのシェアが高い広東省では、2025年までに省内のFCEV保有台数を1万台以上にする方針を打ち出しています。
これらに加えて、中国ではいまなおセダンの人気が根強いことや、需要の高まっている「ショーファーカー」という特徴を持つ新型クラウンセダンにFCEVを設定する合理性も見えてきます。
いずれにせよ、新型クラウンセダンの販売の中心はFCEVではなくHEVになることは確実です。
ただ、中国におけるFCEV市場は今後加速度的に成長していくと見られており、2030年には保有台数が200万台程度になるという予測もあります。
そうなったとき、中国でいちはやくFCEVを販売していたトヨタが有利に立つ可能性は決して少なくないと思われます。
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なお、新型クラウンセダンは2023年4月に開催された上海モーターショーにも出展されています。
全長5030mm×全幅1890mm×全高1470mmという堂々たるボディサイズは、中国のトヨタにおけるセダンのフラッグシップとなる見込みです。
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