日本では売ってない「日本車」!? 国内導入の可能性はある? ワイルドすぎるスバル「ウィルダネス」とは
シンメトリカルAWDや水平対向エンジンなど強い個性で独自の存在感を示す「スバル」ですが、米国ではオフロード仕様「ウィルダネス」が独自設定されています。2023年4月には第3弾モデルとなる新型「クロストック ウィルダネス」が世界初公開されるなか、日本への導入は実現するのでしょうか。
北米だけで導入されるオフロード特化型仕様「ウィルダネス」
スバルは米国現地時間の2023年4月5日、ニューヨーク インターナショナルオートショーで新型「クロストック ウィルダネス」を世界初公開しました。
このニュースを知った日本のスバルファンの多くは「またか…」というあきらめにも近い感情と共に、「日本導入を真剣に考えて欲しい!」という期待値がさらに高まっているのではないでしょうか。
ウィルダネスは、スバルが主に北米市場で展開するサブブランドです。
現行「アウトバック」で初採用され、その後「フォレスター」にも追加。今回のクロストレックで第三弾となります。
アウトバック ウィルダネスが登場した時点では、北米向け特別仕様車、または北米向けのグレードのひとつという見方をした日本のユーザーが少なくなかったでしょう。
通常のアウトバックに対し、ウィルダネス独自の設定項目は多岐にわたります。
まず外観では、オフローダーっぽさを強調するボディデコレーションが車体全体に施され、室内も同様にシートを含めた各所がオリジナルの装飾となるほか、アウトドアでの使用にも耐えられるタフな仕様となっています。
ウィルダネスは内外装の装飾に留まらず、走行面でも大きく手が入ります。
オフロード重視でオンロード走行も十分に可能なタイヤの採用に加え、足回りは最低地上高を上げています。さらにファイナルギア比や四駆制御ソフトウエアの変更など、数々のチューニングが施されました。
こうした、アフターマーケットメーカーが手がけるようなボディパーツや走り系のライトチューニングを、スバルは生産ラインで実現したのです。
価格も比較的リーズナブルです。
アメリカ現地でのアウトバックは、「ベース」が2万8395ドル(1ドル131円換算で372万円)ですが、「プレミアム」、「Onyxエディション」、「リミテッド」などウィルダネスを含みグレードは9つもあり、ウィルダネスは3万8445ドル(504万円)とグレード別で見ると「中の上」という価格設定になっています。
そのうえで、今回の登場したクロストレックにより、ウィルダネスは「単なるグレード」ではなく、北米向けサブブランドとしての立ち位置を確立したといえるでしょう。
では、スバルはなぜ、北米向けにウィルダネスを構築したのでしょうか。
筆者(桃田健史)がこれまでスバル本社関係者に取材してきたところでは、多くの人が「ウィルダネスはSOAが主導して企画されたものだ」と言い切ります。
SOAとは、スバルの北米法人であるスバル・オブ・アメリカのことです。
北米での事業について、市場の実態を身近で感じることができるSOAが、商品企画に対し強い発言力を持つのは当然として、そもそも現在スバルの屋台骨を支えているのがSOAという現実があるため、「SOAの意向」がスバル本社でも最重要視されることになります。
直近の決算である2022年3月期のデータを見ると、スバルの売上収益2兆7445億円のうち、71%が北米事業によるものです。
日本は24%であり、アメリカの1/3にとどまります。つまりアメリカ重視の姿勢が、スバルの経営実態だと筆者は考えます。
スバルは米市場が儲け頭だから日本は二の次。
国内は競争が激しいし儲けも少ない、スバルの市場占有率も下からが良いところ、特異な対抗エンジンで一部の愛好者には受けるが燃費もそこそこ。そんなこんなで熱意がイマイチかな?