目がない!? トヨタが“タマゴ型”「4人乗りハッチバック」誕生させていた! 公道走行可能な「LQ」とは
2019年の第46回東京モーターショーでトヨタは奇抜なデザインのコンセプトカー「LQ」を出展していました。今でも”未来のクルマ“のように見えるこのクルマは、公道走行も可能な“本格的な”コンセプトカーでした。
目がない!? 奇抜デザインの「LQ」は公道走行も可能なコンセプトカーだった
様々なコンセプトカーや新型車が発表されるクルマの祭典「モーターショー」。日本で開かれる東京モーターショーも例外ではなく、今見ても先進的なクルマがたくさんありました。
そのなかの1台が、2019年の第46回東京モーターショーでトヨタが出品した奇抜なデザインの「LQ」です。
LQは、トヨタが「新しい時代の愛車」を具現化したと語るコンセプトカー。2017年1月に開催された2017International CESに出展した「TOYOTA Concept-愛i」で表現した未来の愛車体験コンセプトを忠実に実現したモデルであり、コンセプトカーとはいってもナンバー取得・公道走行が可能なクルマです。
ボディサイズは全長4530mm×全幅1840mm×全高1480mmとトヨタ「プリウス」ほどのサイズで、4人乗り、ボディ形状はハッチバックです。
パワートレインは、モーターのBEV(バッテリーEV)です。
エクステリアは、2020年放送の特撮ドラマ『ウルトラマンZ』の劇中車として使われるほどの奇抜ぶり。形状自体はプリウスのようですが、まるでヘッドライトが無いように見えるデザインや後輪タイヤがボディの中に隠れるようになっているリアスパッツのような構造が採用されるなど、白いボディも相まって“タマゴ”のような仕上がりです。
インテリアも、白を基調とした清潔感漂うデザインでまとめられています。多くのアンビエントライトがあしらわれており、宇宙船のような印象を与えます。
先進的なのは、内外装のデザインだけではありません。
モビリティエキスパート AIエージェント「YUI」が搭載され、常に乗員の表情や動作から感情や眠気などの状態を推定。会話を中心としたコミュニケーションに加えて、覚醒・リラックス誘導機能付きシート・音楽・車内イルミネーション・空調・フレグランスなどの各種HMI(Human Machine Interface)を用いて働きかけるほか、シーンや好みに応じた音楽の選曲・再生や、興味のある話題や施設情報を提供するなど、移動をまるごとサポートしてくれます。
さらに、レベル4相当の自動運転や、無人自動バレーパーキングシステム、AR-HUD、当時トヨタとしては初となる有機ELディスプレイのメーターを採用。
“まるで無いように見える”ヘッドライトは、100万個の微小なミラーの切り替えによって、複雑な図形や文字を路面に描画することができるDMD(Digital Micromirror Device)式ヘッドライトとなっており、ドライバーに路面状況を知らせたり、車内外のコミュニケーションが可能です。
LQの開発責任者を努めた井戸大介氏は、当時LQについて以下のようにコメントしていました。
「遠く離れた場所に連れて行ってくれて、特別な体験をさせてくれるクルマは、かつて『愛車』と呼ばれていました。技術革新やライフスタイルの変化に伴い、お客様のニーズや感動のきっかけが多様化する中、モビリティエキスパートであるAIエージェント『YUI』によって、1人1人のニーズに合わせた特別な移動体験を提供できれば、新しい時代でもクルマは『愛車』であり続けると考えています」
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今見ても先進的で斬新なLQですが、市販モデルではないため、現在まで同様のクルマは販売されていません。
しかし、安全性を含め、市販車とまったく同じ基準で作られ、ナンバーが取得可能で、ドアなど金型を作ったスチールのプレスで前後フェンダーもプレスという本格仕様のコンセプトカーはトヨタでも初だったといいます。
仮に市販車とするには造形も凝りすぎており、かなり高価なクルマとなってしまいそうですが、前述の井戸氏によれば「コンセプトカーと市販車の中間くらいだと考えていただければ間違いありません」とも当時コメントしており、今後LQで使われた技術が、市販車に採用され登場する可能性も完全には否定できません。
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