全長4m級のトヨタ車? アンダー100万円以下の斬新顔「タンダー」を発見… パクリ中国車とは

小さなトヨタ顔「TUNDAR」とはどんなクルマなのか?

 一方で、この中国製のコピー車はその詳細が謎に包まれていますが、ボディサイズは全長4150mm×全幅1540mm×全高1680mmと判明しており、非常にコンパクトな車体です。

 また、エンジンはスズキ製F10A型1リッター直列4気筒エンジンのコピー品を搭載しているとみられ、最高速度は時速100kmとしています。

 同社は「最安のピックアップ」とこのモデルを宣伝しており、実際に価格は本船渡し(=輸送手段や保険は買い手が用意するFOB価格)で5000米ドル(邦貨換算:約68万円)です。

 このような粗悪なコピー品は、たびたび「山寨車」と呼ばれます。

「山寨」とは元々中国語で「山奥の塞」という意味ですが、俗語としては「ニセモノ」「模倣品」などを指します。

 1990年代から2000年代の中国では「山寨機」と呼ばれる著名ブランドの携帯電話や家電の模倣品が大量に市場に出回り、そこから「山寨」というワードがよく知られるようになりました。

 これらの特徴のひとつとして、元のブランド名を少し改変した名前(SONY → SQNYなど)を名乗ることが挙げられ、そこから今回の「TUNDAR」も「山寨」のひとつと言えます。

これが本物のトヨタのフルサイズピックアップトラック「タンドラ」
これが本物のトヨタのフルサイズピックアップトラック「タンドラ」

 ひと昔前の中国の自動車業界では日本やアメリカ、欧州の人気車種をパクった車種が乱立しており、「パクリ大国」と呼ばれてきました。

 ですが、いまや大手メーカーは日欧米メーカーの著名デザイナーを引き抜いて独自デザインを完成させており、かつての面影は感じられません。

 それでもなお、自社でデザインする能力を持たない、本当に「自動車メーカー」と呼べるのかも怪しい弱小規模の会社では、人気車種のコピー品を市場に送り出しています。

 その風潮は電動化の流れとも関係が深く、「老年代歩車」と呼ばれる「自転車よりも便利で、自動車よりも安い超小型電気自動車」は流行りを見せている一方、皆無に等しい安全性を理由に規制強化の道も辿っています。

 中国国内の購買層の間では「パクリは恥」という認識が生まれつつあり、パクリ車種は淘汰される傾向にあります。

 そしてSino Vehicle Hubは主に海外向けのビジネスを展開しているため、今回の「TUNDAR」は中国国内ではなく、海外向けを想定した車種と予想できます。

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Writer: 中国車研究家 加藤ヒロト

下関生まれ、横浜在住。2017年に初めて訪中した際に中国車の面白さに感動、情報を集めるうちに自ら発信するようになる。現在は慶應義塾大学環境情報学部にて学ぶかたわら、雑誌やウェブへの寄稿のみならず、同人誌「中国自動車ガイドブック」も年2回ほど頒布する。愛車は98年式トヨタ カレン、86年式トヨタ カリーナED、そして並行輸入の13年式MG6 GT。

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