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アメリカではなぜピックアップトラックが人気なのか…
アメリカでピックアップトラックが人気な理由は、日本とは違うポジションにあると言えます。
アメリカでピックアップトラックが生まれたのは1913年で、フォード「T型」のバリエーションのひとつとして造られました。
ピックアップトラックと名乗ったのは、ダッジの造った「3/4トントラック」。
ネーミングの由来は定かではありませんが、ボンネットトラックに比べて荷台が低いので、荷物を拾い上げる(pick up)ように取れるからという説が濃厚です。
1940年代までは農業や産業などで使われることが多かったのですが、1950年代になると一変。
アメリカ経済の好景気によって人々のライフスタイルが様変わりします。
その結果、パーソナルカー時代が到来し、ピックアップトラックが一気に広がったのです。
アメリカ人の間でサーフィンやオートキャンプなどのアウトドアレジャーが流行したこと、スポーティなエクステリアのモデルが登場したことに加えて、ピックアップトラックは消費税や自動車保険が安いことが需要拡大の要因でした。
日本だとパーソナルカーは軽自動車ですが、国土が広大で道路が広いアメリカでは、多人数乗車を考えていないピックアップトラックということになったのでしょう。
ちなみにアメリカでは、女性がスカートで乗り降りできて、子どもの送り迎えができるということで、ステーションワゴンやミニバン、ミドルサイズSUVは「ママのクルマ」と呼ばれています。
一方、無骨で潔いエクステリアのピックアップトラックは「男のクルマ」とされているのです。
アメリカではフルサイズピックアップトラックだけでなく、ミドルサイズピックアップトラックも人気です。
フォード「レンジャー」、シボレー「コロラド」、そしてトヨタ「タコマ」といったクラスです。大きすぎないサイズと手頃な価格ゆえに、主にアメリカの若年層に支持されています。
フルサイズピックアップトラックと言えば、やはり成熟した男の乗り物。
2000年代に入ると、高級化が進み、内外装ともゴージャスなモデルがアメリカ国内で増加。クリント・イーストウッドの映画「運び屋」でも、大金を掴んだ主人公が古いフォードのトラックからリンカーン「マークLT」に乗り換えるなど、高級ピックアップトラックは富裕層の証しともなっています。
Writer: 山崎友貴
自動車雑誌編集長を経て、フリーの編集者に転向。登山やクライミングなどアウトドアが専らの趣味で、アウトドア雑誌「フィールダー(笠倉出版社刊)」にて現在も連載中。昨今は車中泊にもハマっており、SUVとアウトドアの楽しさを広く伝えている。
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